出張で泊まった東京のホテルの料金が、想定していた3万円ではなく、10倍の30万円だった──。そんな体験談がSNSに投稿され、注目を集めている。
7月、Threadsに投稿された体験談によると、出張で東京に滞在するため、会社の経費の範囲内で収まると思って都内のホテルを2泊分予約。チェックイン後に、宿泊料が3万円ではなく30万円だったことに気づいたという。
ホテル側と交渉して2泊目は取り消すことができたが、1泊分はそのまま宿泊し、ホテルに支払った額は15万円。窓から東京タワーが見える高級ホテルだった。
投稿者は当初、「領収証は提出したうえで、旅費規程の上限額だけを精算してもらうよう申請すればいい」と考えていたが、最終的には会社が8万円を負担して、残る7万円は自己負担となったそうだ。
従業員側のミスとはいえ、規程を大きく超える宿泊費は、どこまで経費として認められるのか。労働の問題にくわしい今井俊裕弁護士に聞いた。
●原則としては旅費規定の内容に従う
──会社が出さなかった差額は、やはり本人が負担するしかないのでしょうか。
ホテルの宿泊費も高騰を感じますね。
多くの企業には出張旅費規程が定められています。宿泊費のルールも原則として規定によって決まります。
出張先のエリア(たとえば首都圏か地方かなど)に応じて、支給する旅費の上限額が定められることが多いでしょう。
また、通常は事前に上長承認を得ることも支給の条件とされます。
もしも承認を得ないまま、従業員が誤って予約・宿泊してしまったとしましょう。その場合、そもそも事前の上長承認という条件をみたしていないのですから最悪は、全く精算してもらえない可能性もあり得ます。仮に精算をしてもらえるとしてもその額は規程に定められた上限額に落ちついても仕方ないでしょう。
今回のケースでは、半額以上の8万円を精算してもらっているのですから、その意味では会社から特別に恩恵を受けたとも言えそうです。
●「業務」なのだから会社負担にならない?
──事前承認されているが、出張する従業員が「30万円」を誤って「3万円」と申請したらどうなりますか。
これも従業員のミスとなり、本来は規程の範囲内でしか精算してもらえない立場といえます。
従業員は会社の指示に従って出張しているだけで、業務なのだから、従業員が被る負担の何割かは会社も被るべき──。そのような主張もあり得るかも知れません。
しかし、そのような主張は、たとえば、従業員が業務中に、会社所有の車両や設備や器具等を過失で損傷させた場合などにおいてよく使われる理論です。今回のような出張旅費の精算などに適用されるような理論ではありません。

