70代や80代と聞くと、ITやデジタル機器は苦手というイメージを持ってしまいがちです。しかし実際には、「一家に一台パソコン」が当たり前になった2000年前後を、今の私たちと同じアラフィフの世代として過ごしていました。そのため今のシニア世代は、思っている以上にパソコンやスマホを日常的に使っている人が多くいます。私の親もまさにその世代。実際の暮らしをたどってみることで、その実像が見えてきました。
「桜が見たいから」パソコンを使いこなす母
春の穏やかな日差しの中、とある桜の名所で一本の桜にカメラを向ける女性がいます。枝先に咲いた少し珍しい品種の桜。その花を角度を変えながら何枚も撮影しているのは、70代後半の私の母です。桜をこよなく愛する母は、テレビやインターネットで気になる桜の名所を見ると、すぐさま情報を調べ始めます。場所、開花状況、宿泊先、移動手段、必要な持ち物など、パソコンやスマホを使い、そのまま自分で手配しています。手伝おうかと声をかける間もなく、マイレージや予約サイトなどもしっかりと使いこなしていました。
帰ってきたらさっそくパソコンに写真を取り込み、整理して印刷。年末にはその年に撮った桜の写真で年賀状を作っています。一番心に残った一枚と、一番きれいに撮れた一枚が違うこともよくあるようで、相手によって差し替えて送っているようです。
こうした一連の流れを見ていると、母にとってITは「特別な道具」ではなく、自分のやりたいことを実現するための手段のひとつになっているようです。
「一家に一台パソコン」から暮らしに根付いた
思い返せば20年以上前から、母がパソコンでやっていたことは本当に多くありました。先に紹介したような旅行の手配や写真管理、年賀状作成のほか、友人とのメールでのやりとりや情報収集、ネット通販なども含まれます。もちろん、今ではその多くをスマホでもこなしています。
わが家だけではありません。2000年前後、「一家に一台パソコン」が広がっていく中で、家計簿ソフトやMicrosoft Word、Excelによる文書作成、ゲームなど、パソコンは身近な存在になっていきました。
2000年前後に50代だった人たちは、現在おおむね70代後半から80代です。総務省の「令和7年通信利用動向調査」によると、70~79歳のインターネット利用率は約72%、80歳以上でも約37%となっています。パソコンからスマホへと主な利用機器が変わりながらも、ITに触れてきた人も多くいる世代であることがわかります。私たちの世代とも大きな隔たりがあるわけではないことに気付かされました。

