自覚症状がないまま進む『腎硬化症』とは? 高血圧と腎臓の関係・治療法を医師が解説

自覚症状がないまま進む『腎硬化症』とは? 高血圧と腎臓の関係・治療法を医師が解説

早期発見と治療が大切!

早期発見と治療が大切!

編集部

病気が進行すると、どのような症状が出てきますか?

天野先生

進行すると、顔や足のむくみ、疲れやすさ、食欲不振、吐き気、息切れなどがみられることがあります。また、尿量が減ったり、尿が泡立ちやすくなったりすることもあります。こうした症状が出る頃には、腎機能がかなり低下している場合が多いですね。

編集部

腎機能が低下すると、どのような経過をたどるのでしょうか?

天野先生

腎硬化症では、「虚血」という臓器に酸素が届かない状態が徐々に進行します。これは動脈硬化により血管が狭窄し十分な血液が腎臓の隅々まで行き渡らなくなることで起こります。腎臓の細胞は再生しないため、構成する細胞は減少していきます。エコーやCTで確認すると、健常な人より腎臓が萎縮していることが分かります。腎硬化症は糖尿病に比べ、腎不全が進行しても尿量は比較的保たれることが多く、ほとんど自覚症状を呈することなく進行していきます。老廃物や毒素が蓄積して起こる尿毒症の症状が表れたときには末期腎不全になっていることも多いですね。気づいたときには透析が必要になる人も少なくありません。

編集部

一度悪くなった腎臓は、元に戻るのでしょうか?

天野先生

残念ながら慢性腎臓病により悪化した腎機能は元に戻ることはありません。現代の科学・医学では進行を緩やかにすることが限界です。それでも、早期治療を行うことで、自分の腎機能で生涯を全うできる可能性が高まります。

編集部

腎硬化症や慢性腎臓病では、どのような治療が行われますか?

天野先生

治療の基本は、原因となっている高血圧や糖尿病をしっかり管理することです。食事内容の見直しや適度な運動に加え、必要に応じて薬を用いて血圧や尿蛋白をコントロールします。できるだけ早い段階で異常に気づき、進行を抑える対策をすることがポイントになります。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

天野先生

腎硬化症は、長い間高血圧が続いたことで腎臓に負担がかかり、少しずつ働きが低下していく病気です。血圧が高い状態が続くと、腎臓の細い血管が硬くなり、血流が悪くなってしまいます。その結果、腎臓に十分な酸素や栄養が届かなくなり、腎機能が低下していきます。そのため、治療で一番大切なのは血圧をきちんとコントロールすることです。これは腎臓を守るだけでなく、心臓や脳の病気を防ぐことにもつながります。腎硬化症は腎臓だけの問題ではなく、全身の血管の病気と考えて、トータルで予防していくことが重要です。
診察を始めるときに、私たちが特に気を付けていることは、血圧を下げるスピードです。急にたくさんの薬を使って血圧を下げすぎると、かえって腎臓の働きが悪くなってしまうことがあります。これは、長年の高血圧に体が慣れてしまっていて、急に血圧が下がると腎臓が「低血圧」と感じてしまうためです。血圧は時間をかけて、ゆっくり下げていくことが大切です。腎臓を守りながら、将来の心臓や脳の病気も防ぐために、焦らず治療を続けていきましょう。患者さんにはよく、「血圧は高すぎてもよくないし、低すぎてもよくありません。大切なのは、長い目で見て少しずつ下げていくこと。一緒に無理のないペースで、正常な血圧を目指していきましょう」と伝えています。

編集部まとめ

腎硬化症は、高血圧が長く続くことで腎臓の血管が傷み、少しずつ腎機能が低下していく病気です。初期にはほとんど症状がなく、気づかないまま進行してしまうことも少なくありませんが、健康診断などで早期に異常を見つけ、血圧管理や生活習慣の見直し、適切な治療を行うことで、腎機能の低下を抑え、透析に至る時期を遅らせることが可能です。高血圧や腎機能の数値を指摘されたことがある人は、「まだ症状がないから」と放置せず、早めに専門的に見てくれる医師へ相談することが大切です。

参考文献
一般社団法人 日本透析医学会統計調査委員会「わが国の慢性透析療法の現況」2023
エビデンスに基づくckd診療ガイドライン2023

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。