いま日本で急増している子宮体がん(しきゅうたいがん)。年間約1万3000人が罹患し、その数は1980年代と比べて約9倍に増えています。早期発見できれば5年生存率は95%である一方、遠隔転移を起こした場合は約20%まで下がってしまいます。今回は、見逃してはいけない子宮体がんの初期症状を中心に、なりやすい人の特徴と早期発見のための検査について、舛森先生に詳しくお話を伺いました。

監修医師:
舛森 悠(YouTube医療大学)
2019年旭川医科大学卒業後、札幌にて初期研修をおこない、函館稜北病院総合診療科へ。北海道内の3次救急を担う救命救急センターなどを経て、現在は千葉大学大学院 医学薬学府 先進予防医学共同専攻 博士課程にて研究に従事。並行して北海道での地域医療に貢献し、登録者96万人を誇る「YouTube医療大学」を運営。一般社団法人とまりぎケア代表理事、総合診療専門医、新家庭医療専門医、認知症予防専門医、医師会認定産業医。
≫ ⚠放置厳禁‼︎ 知らないと後悔する子宮体がんの危険サイン【40代から急増中】【初期のサイン】少量でも見逃さないで! 不正出血、おりものの変化
編集部
そもそも子宮体がんとは、どのようながんなのでしょうか?
舛森先生
子宮体がんは、子宮の内側の膜である「子宮内膜」にできるがんです。子宮の下側、腟(ちつ)に近い部分にできる子宮頸がん(しきゅうけいがん)とは全く特徴が異なります。閉経後の50〜60代に最も多いとされますが、40代やそれより若い世代でも発症する可能性があります。
編集部
初期症状にはどのようなものがありますか?
舛森先生
1つ目は「不正出血」です。女性ホルモンで厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちて起きる、月1回程度の定期的な出血を月経(生理)といいます。これに対して、月経周期と関係なく起きる出血のことを不正出血といいます。
編集部
少量でも疑ったほうがいいのでしょうか?
舛森先生
はい。私も実際に外来で「生理周期とは別のタイミングで少し血が出ているけれど、少しくらいの量なら問題ないですよね」と聞かれたことがありますが、少量でも不正出血があれば何らかの異常を疑うことが大事です。特に30代以降で、いつもは月経周期が整っているのに、突然周期と異なるタイミングで出血が起こった人は要注意です。
編集部
更年期になると月経周期は不規則になりがちですよね。単なる更年期症状と子宮体がんは見分けられるのでしょうか?
舛森先生
注意したい点です。50代前後で更年期を迎えると月経の間隔が伸びたり、むしろ近くなったりするため、不正出血も「更年期のせい」と放置してしまう人は多いのですが、子宮体がんの初期症状である可能性も捨てきれません。おかしいなと思ったら、一度婦人科を受診してください。
編集部
閉経後の出血はどうでしょうか?
舛森先生
閉経を迎えた女性が時折出血を認める場合も明らかに異常です。必ずしも子宮体がんとは限りませんが、子宮内膜ポリープや、腟・子宮内膜の萎縮など、その他の病気の可能性もありますので、注意して自分自身の体調をチェックすることが大切だと思います。
編集部
不正出血が1つ目の重要なサインであることは分かりました。2つ目の初期症状は何でしょうか?
舛森先生
「おりもの(帯下)の変化」です。子宮体がんがあるとじわじわ出血が起こるため、固まったおりものとして変化が表れる場合が多くみられます。具体的には大きく3つの変化が見られます。1つ目は「量がいつもより増える」、2つ目は「悪臭などいつもと違う匂いがする」、3つ目が「色の変化」です。
編集部
どのような色に変化するのでしょうか?
舛森先生
がんは周囲の組織を壊しながら成長していくので、とても脆い構造をしています。また、栄養を得るために新しい血管をどんどん作りますが、“突貫工事”で作った血管なので出血しやすくなっています。
子宮体がんの場合、子宮内膜にできた血管からの血が固まって、いつもより茶色っぽいおりものや赤黒いおりものが出てくることがあります。「いつもと変わってきている」と感じたら、近くの婦人科を受診してください。
【進行のサイン】下腹部痛や排泄の異常も? すぐに受診すべき症状
編集部
出血やおりもの以外にも症状はありますか?
舛森先生
3つ目は「下腹部の痛み」です。ここから解説する3つの症状は、がんがさらに進行してきたときのサインになるのでご注意ください。
子宮体がんが大きくなると、神経に触れたり周囲の臓器を圧迫したりすることで下腹部に鈍痛が生じます。さらに進行すると「骨盤のあたりが痛い」と訴える人もいます。骨盤が痛いからと整形外科を最初に受診していた人もいます。原因のわからない下腹部や骨盤の痛みも、子宮体がんのサインの可能性があることを忘れないでください。
編集部
4つ目はどのような症状ですか?
舛森先生
「排尿や排便に関わる症状」です。
まず排尿症状について説明しましょう。子宮と膀胱(ぼうこう)は隣り合わせの臓器です。がんがある程度大きくなると、膀胱が物理的に圧迫・刺激されます。この結果頻尿になったり、尿道のあたりが圧迫されて尿が出づらくなる排尿困難が起きたりします。
さらに、便に関わる症状も類似したメカニズムで起こります。膀胱の裏には直腸(便の通り道)があり、子宮が大きくせり出すことで便が直腸を通過するのを邪魔してしまい、便秘が起こることもあるんです。
編集部
便秘の原因が子宮体がんとは、なかなか結びつきませんね。
舛森先生
便秘とがんがつながっているとは容易に想像できませんよね。しかし、いろいろな対策をしても頻尿や便秘の原因が特定されない女性は、子宮体がんの可能性も考えておく必要があります。
編集部
分かりました。では最後の5つ目の症状を教えてください。
舛森先生
「性交時痛」です。がんが子宮を圧迫して性器の位置関係を変化させたり、神経に触れたりすることで痛みが出ることがあります。より疑いが強くなるのは、「普段は痛みがないのに突然痛みが出現した場合」や、「だんだんと痛みが強くなってきた場合」と考えてください。

