なぜ日本で急増? 子宮体がんになりやすい人の“共通点”
編集部
日本で子宮体がんが急増していると聞きましたが、なぜでしょうか?
舛森先生
大前提となるキーワードは女性ホルモンの「エストロゲン」です。
子宮体がんの80%はエストロゲンが原因で発生すると言われています。もともとエストロゲンは子宮内膜を分厚くするホルモンで、出れば出るほど内膜にエラーが起こり、子宮体がんになるリスクが上がります。
ここから、近年子宮体がんが急増している原因を1つずつ説明しましょう。まず、食事の欧米化による「肥満の増加」です。脂肪細胞からはエストロゲンが出るため、肥満の人はリスクが上がります。特にBMIが27を超えると、通常に比べて発症リスクが2倍になるといわれています。
編集部
肥満には注意が必要ですね。ほかには、どのような人がなりやすいのでしょうか?
舛森先生
エストロゲンにさらされる期間(曝露期間)が長い人、つまり出産を経験したことがない人や、閉経が遅い人です。妊娠中や母乳での育児中は月経が止まり、エストロゲンが分泌されないため、この期間はエストロゲンにさらされません。一方で、出産を経験していない人はその分エストロゲンにさらされる期間が長くなり、リスクがいくらか上がります。
編集部
ここにもエストロゲンが関与しているのですね。病気や薬に関わるリスクもありますか?
舛森先生
はい。乳がんのホルモン療法で「タモキシフェン」という薬を使っている人はリスクが上がると言われています。また、「リンチ症候群(DNAの傷を修復する遺伝子に変異があるため、大腸がん、子宮体がん、卵巣がん、胃がん、小腸がん、尿路がん、胆道がんなどが発症しやすい遺伝性疾患)」の可能性がある人も注意が必要です。
編集部
該当する場合は、どうすればいいですか?
舛森先生
まず、医師に処方されているタモキシフェンを自己判断でやめることは絶対にしないでください。大事なのは定期的に検査を受けることです。現在タモキシフェンによるホルモン療法を受けている人は婦人科の先生に相談し、定期的な検査を受けてください。また、リンチ症候群の可能性は遺伝子検査で確認できます。該当する場合はやはり、婦人科への受診および定期的な検査が必要となります。
編集部
排卵に関わるリスクもあると聞きました。
舛森先生
はい、「無排卵性月経(むはいらんせいげっけい)」といって、排卵なしで月経が起こっている人も注意が必要です。通常は排卵すると「プロゲステロン」が分泌され、ホルモンバランスがプロゲステロン優位に切り替わります。ところが無排卵性月経ではエストロゲンとプロゲステロンのホルモンバランスが切り替わらず、ずっとエストロゲンに曝露され続けるため、リスクが上がります。無排卵性月経は、基礎体温が低温のまま一定かどうかで見分けられます。
症状がない段階で見つける方法は? 検査・検診の重要性
編集部
子宮体がんの早期発見のためには、どのような方法がありますか?
舛森先生
エコー検査や子宮内膜の細胞診(さいぼうしん)を受けることが推奨されます。
エコー検査では、お腹の上から、または腟から器具を挿入(経腟エコー)して、子宮内膜の形や厚さを画像で観察します。
細胞診は、実際に子宮内膜の細胞を採取してがん細胞や前がん病変(がんになる手前の段階)がないかを見る検査です。
子宮体がんは4人中3人が初期で見つかるとも言われ、しっかり検査を受ければ早期発見・治療につなげられる可能性があります。
編集部
エコー検査や細胞診は検診として受けることもできるのでしょうか?
舛森先生
死亡率を下げる効果が証明され、市町村が費用を補助しているのは『子宮頸がん検診』です。20歳以上の女性は2年に1回の検診が推奨されており、費用はおおよそ1000~2000円です(自治体によって差があります)。
子宮体がん検診は、無症状の人に対して一律に推奨されるものではなく、症状がある人やリスクの高い人を対象に、医師の判断で行います。病院や自治体によっては、同意が得られれば子宮頸がん検診とあわせて子宮体がん検診も行ってくれるところがあります。

