母が亡くなってから、すでに何年かがたちました。それでも今なお、母に伝えられなかったことが心に残っています。私が落ち込んでいる姿を見て、母は自分の入院や治療にお金がかかることを、私が負担に感じているのだと思っていたようです。しかし、本当の理由は別にありました。
母に言えなかった本当の悩み
当時、私が落ち込んでいたのは、会社での人間関係に悩んでいたからでした。しかし、私はそのことを母に正直に話せませんでした。
母は持病があり、入院を繰り返していました。そのため、私が家族のために働き、お金を用意しなければならないことを負担に感じているのではないかと思っていたようです。
けれども、私にとって家族のために働くことは、決して苦ではありませんでした。私が悩み、情けなく感じていたのは、うまく立ち回れない自分自身の不甲斐なさについてだったのです。
お金より大切だと思っていたこと
もちろん、お金がなくて困ることはあります。それでも、お金があれば必ず幸せになれるとは限らないと、私は思っていました。
私にとっての幸せは、家族が笑顔で、楽しく過ごしていることでした。母の入院にお金がかかるからといって、母の存在を負担に思ったことはありません。
その気持ちをきちんと言葉にしていれば、母に余計な心配をさせずに済んだのかもしれません。しかし私は、本当の悩みも、母を大切に思っている気持ちも、最後まで十分に伝えられませんでした。

