イップスはどのようにして治療するのか?
編集部
イップスは、どのように治療していくのでしょうか?
濱野先生
治療は、原因に応じて組み合わせて行います。心理的要因が強ければ不安への対応やメンタルトレーニングを行います。神経学的な要素が強い場合は、局所性ジストニアとしての対応を検討します。何が主な要因かを見極めて治療方針を立てることが重要です。ただし、現時点でイップスに確立した標準治療はありません。研究報告でも症状の評価方法が統一されておらず、どの治療法についても効果の裏づけは十分とはいえないため、効果には個人差があることを前提に、症状の出方に合わせて方法を探していくことになります。
編集部
具体的にどのような治療を行うのですか?
濱野先生
イップスと診断され、不安や緊張が症状に大きく関係している場合には、精神科や心療内科で薬物療法や認知行動療法を行うことがあります。認知行動療法では、失敗への恐怖や過度な緊張を整理するとともに、負担の少ない動作から段階的に取り組み、小さな成功体験を積み重ねます。
失敗を強く気にする人や、完璧に行おうとする傾向のある人には、症状が強く出ることがあります。本人の性格を責めるのではなく、症状を引き起こす状況や考え方の癖を理解し、適切な治療につなげることが大切です。
編集部
フォームの見直しや道具の変更でよくなることもありますか?
濱野先生
ごく一部ですが、道具の持ち方や動作の入り方を変える、反対の手を使う、競技によっては道具を替えるといった小さな工夫で改善につながる場合があります。
編集部
改善するまでには時間がかかるのでしょうか?
濱野先生
症状が落ち着くまでに時間がかかることは少なくありません。イップスの表れ方や改善までの経過には大きな個人差があり、短期間でよくなる人もいれば、時間をかけて向き合う必要がある人もいます。改善を目指す上では、競技との相性やプレー環境を見直し、練習方法や取り組み方を変えてみることも有効です。焦らず、その人に合った方法を探していくことが欠かせません。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
濱野先生
イップスが続くときは、一度競技から距離を置くことも有効な方法の一つです。無理に続けることで、失敗への不安や緊張がさらに強くなり、症状が固定化してしまう恐れもあります。まずは数週間を目安に競技から離れ、心身をリセットした上で、再び取り組んだときにどのような変化があるかを確かめてみてください。それでも変化がない場合は、我慢して続けずに医療機関へ相談してください。
競技を離れられない環境にいる人や、休んでも症状が改善しない人は、一人で抱え込まず、スポーツドクターやスポーツ障害に詳しい整形外科、精神科、脳神経内科などの医療機関に相談することをおすすめします。
編集部まとめ
イップスを抱えたまま無理に競技を続けると、不安や緊張が強まることがあります。一度距離を置き、心身をリセットすることも大切な選択です。競技から離れにくい場合や、休んでも改善しない場合は、一人で抱え込まず医療機関へ相談しましょう。

