各地に残る不思議な噂や伝承を、桜井識子さんが実際に現地を訪ねてひもといた『謎の先には〝開運〟がある! 歴史ミステリとパワースポットを調べてわかったこと』。本書では、織田信長と豊臣秀吉、平家落人伝説、日本三奇、久米島、屋久島などをめぐり、噂や伝承の先にある知られざる物語や、土地に宿る力、ありがたいごりやくを探ります。
今回ご紹介するのは、信長さんゆかりの「安土城跡」。以前、桜井さんが「地獄の入口にいた」と伝えていた信長さんは、その後どうなったのでしょうか。本書から一部を抜粋してご紹介します。
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石仏を石として利用していた安土城
安土城に行ったのは2回目です。初回はたしか2015年で、その時は私ひとりだけではありませんでした。ですので、スピリチュアルなことは何もわかりませんでした。
今回はひとりなので、しっかりといろいろな部分を見ることができます。
入口を通って、石段を上りつつ、まずは小声で名乗りました。軽く自己紹介もしました。相手は神仏ではありませんが、気難しい人かもしれないので、私なりに気を遣ったのです。
安土城跡の石段(写真:桜井識子)
それから、声をかけてみました。
「信長さ~ん! さん付けで呼ぶのは失礼かもしれませんが、現代はそういう時代だと思って、お許し下さい。信長さ~ん! 織田信長さ~ん! いらっしゃいますか~? いらっしゃったら、お話を……」
ここまで言ったところで、
「話をしたいのなら、上まで来いっ!」
ビックリマーク付きの感じで怒鳴られました。
ひゃ~! 叱られた~、と思いましたが、言っていることはごもっともです。入口近くのところで会話をするとなると、信長さんに下まで来い、ということになります。
信長さんはついこないだ地獄の入口から解放されたばかりです。昔の感覚そのままだと思われます。庶民の私が話をしたいとなれば、天主まで行くのが当然でしょう。下から声をかける(信長さんに私のところまで来いと言う)のはたしかに失礼です。
「わかりました~! すみませんでした!」
素直に謝って、黙って石段を上りました。
石段をてくてくと上っていると、驚くことに、石仏が埋め込まれていました。石仏としてではなく、石段を構成する石のひとつとして、です。仏様が彫られていても、石だから普通の石と同じ、利用しない手はない、ということでしょうか。
石段に埋め込まれた石仏(写真:桜井識子)
石仏があちらこちらに埋め込まれているのを見て、うっかり非難の言葉が口から飛び出しました。
「これは! さすがにバチ当たりな行為なのでは!」
約400年前の過去から現在までに、信仰心のない人に踏まれたことがありそうです。
石仏のひとつに手を合わせようとしたら、いきなり信長さんの声が頭上から響きました。
「魂は抜いてある!」
あ、そうなんだ、魂抜きはしているんだ、とわかりました。手を合わせてみたら、たしかに道はつながっていませんでした。
いや、しかし、仏様です。許さないことはないだろうとは思いましたが、なんとなく申し訳ない気持ちになりました。もちろん、大きく避けて歩きました。
石段はけっこう上のほうまで続きます。
そこをヒーヒー、ハーハー、ゼーゼー言いながら上りました。地味にしんどかったです。傾斜もあるし、石の高さもバラバラだからです。
ここで秀吉さんを思い出しました。信長さんに誠意を見せ、忠誠心をわかってもらうため、信長さんに疑う気持ちを抱かせないように、天主まで走って上っていたというのです。呼ばれたら、必ず、です。
実際に歩いてみると、簡単にできることではない、とわかりました。この努力を続けた秀吉さんの信長さんに対する思い、忠誠心が理解できました。
信長さんの目鼻立ちと天主跡の浄化パワー
ふぅふぅ言いつつ、やっと本丸跡に到着しました。
本丸跡は広いけれど、土地は明るくありません。暗くはないのですが、お城の本丸跡という感じがしないのです。特になんということはない、普通の山の中の土地でした。本当にここが本丸跡? と思うくらいあっさりとしていました。
そこから少し上がると、天主跡です。
本丸跡とは対照的に、天主跡の土地はすごかったです! 土地がさらさら~~~っと軽くて、この山でそこだけが涼やかであり、爽やか~~~なのです。土地が浮き上がっているような感じで、浄化のレベルが最上級でした。強烈なパワーで浄化しているのです。見ただけで土地の透明度、パワーがわかります。
当時は敵将に呪いをかけることがあったようですが、そういうものも跳ね返す力がありました。特殊な術がかけてあるのです。レベルが異次元の、今までに体験したことがない土地でした。
爽やかな浄化パワーに満ちた天主跡(写真:桜井識子)
信長さんはそこにある、見えない世界の天主の中に座っていました。
この人が! 織田信長さんなんだ! と思うと、まじまじと顔を見たい気持ちになりましたが、我慢して頭を下げ、挨拶をしました。もちろん自己紹介ももう一度やりました。
「お話を伺いたいのですが」
「うむ」
信長さんは私の真ん前に至近距離でいるのではなく、少し離れています。そのため、顔はハッキリクッキリとは見えませんでした。でも、こういう顔立ちなんだな、ということはわかりました。
最近ネットなどで、当時の宣教師が描いたと言われる信長さんの肖像画を見ますが、あの絵はかなり外国人っぽくデフォルメされています。あそこまで目鼻立ちがハッキリしているお顔ではありません。
鼻は鷲鼻で、日本人にしては高いほうです。スッとした細長い輪郭であり、そこは日本人が描いた、よく見る肖像画と同じです。でも肖像画のように、のっぺり~とした感じではなく、もうちょっと凹凸があります。目はそんなに大きくないのですが、眉がしっかりと濃いので、印象の薄い顔ではありません。
(イラスト:長野美里)

