結婚生活では、相手を傷つけたくないという思いから、本音を飲み込んでしまうことがあると感じます。僕も「これくらいなら」と小さな嘘を重ねていました。しかし、思い切って本音を伝えてみたことで、夫婦の関係に思いがけない変化が訪れたのです。
「おいしいよ」が口ぐせになっていた僕
結婚して間もないころのことです。妻は料理が好きで、毎日仕事から帰る僕のために食事を作ってくれていました。
妻から、「今日の味付けどう?」と聞かれるたび、僕は決まって笑顔でこう答えていました。
「お、おいしいよ!」
妻の料理は、本当においしいことがほとんどです。けれど、味付けが少し濃いと感じたり、苦手な食材が入っていたりする日もありました。それでも、「せっかく作ってくれたのに」と思うと、本音は言えませんでした。
料理だけではありません。疲れている日も「大丈夫」、頼み事をされても「いいよ」。相手を思って選んだ言葉でしたが、気づけば本音を飲み込むことが当たり前になっていました。
小さなズレが積み重なって…
ある日、仕事で疲れて帰宅した僕に、妻が言いました。
「このあと、荷物を一緒に片付けてくれる?」
本当は少し休みたかったのですが、いつものように反射的に「いいよ」と返事をしました。
ところが、作業をしている途中で思わずため息をついてしまったのです。すると妻が心配そうな顔で「無理してた?」と聞きました。
そのひと言に、僕は隠し続けてきた気持ちを少しだけ話してみました。
「ごめん。本当は少し休んでから手伝いたかったんだ」
さらに、「料理もいつも本当においしいけど、『今日は少し濃いかな』とか、『この食材はあまり得意じゃないな』って思う日もあるんだ」と打ち明けました。正直、気まずい空気になると思っていたのですが……。

