立ち上がりや歩き始めに膝が痛み、休むと軽くなる——そんな「始動時痛」は、変形性膝関節症の代表的な初期サインです。痛みが続かないため「年齢のせい」と見過ごされやすいのですが、放置すると歩行中や安静時にも痛むようになり、歩行が難しくなることもあります。階段(特に下り)のつらさ、膝のこわばりやだるさ、熱感、水がたまる感じも初期に気づけるサインです。男女比はおよそ1対4と女性に多く、肥満やけがの既往がある人も注意が必要です。初期症状と早期発見のポイントについて、柿の木坂整形外科クリニックの蓬󠄀田翔太先生に聞きました。
※2025年10月取材。

監修医師:
蓬󠄀田 翔太(柿の木坂整形外科クリニック)
平成24年福島県立医科大学医学部医学科卒業。福島県立医科大学整形外科 入局。平成27年福島県立医科大学大学院入学。総合南東北病院など福島県立医科大学関連病院で研さん。平成31年福島県立医科大学 大学院卒業。坂下厚生総合病院、総合南東北病院(宮城県 岩沼)を経て現職。日本整形外科学会認定 整形外科専門医、日本整形外科学会認定 運動器リハビリテーション医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、医学博士。
変形性膝関節症の早期発見! どんな初期症状があるの?
編集部
変形性膝関節症とは、どのような病気なのでしょうか?
蓬󠄀田先生
膝関節の軟骨が摩耗し、骨の変性や炎症が加わることで痛みや可動域の制限など、さまざまな症状が表れる病気です。主な症状は膝の痛みと腫れで、進行すると膝が伸びにくい、歩きにくいといった機能障害も引き起こされます。加齢の影響が大きい病気ですが、肥満や過去のけがなども発症に関わります。
編集部
どのような人がなりやすいのでしょうか?
蓬󠄀田先生
高齢になるほど増えやすく、特に女性に多い傾向にあります。日本整形外科学会の調べによると、男女比はおよそ1対4とされています。また、肥満の人、両親や祖父母が変形性膝関節症を発症した人、骨折や靭帯損傷などの既往がある人、下肢の筋力低下が著しい人などで発症しやすい傾向があります。さらに、介護や建設業など膝に負担の大きな仕事をしている人や、スポーツで膝を酷使してきた人も注意が必要です。
編集部
高齢になると膝に痛みが生じるのは当然かと思っていました。単なる膝の痛みとの違いはありますか?
蓬󠄀田先生
一時的な痛みと違い、変形性膝関節症を発症すると症状が繰り返されたり、少しずつ強くなったりする特徴があります。具体的には、動作の開始時に膝が痛む、階段や正座がつらくなる、膝に熱感がある、などが代表例です。高齢になると筋力低下や体重増加、血行不良などにより膝に痛みを感じることが多くなりますが、こわばりや違和感、膝に水がたまる感覚から始まることも多いため、痛みだけで判断しないことが大切です。
編集部
進行するとどうなるのでしょうか?
蓬󠄀田先生
進行すると、動き始めだけでなく歩行中も痛みが続くようになり、さらに末期では安静にしていても痛むことがあります。膝が真っすぐ伸びなくなったり、変形が目立ったりして、歩行そのものが難しくなることも少なくありません。膝だけでなく、姿勢の崩れから腰や足首にも負担が及ぶことがあるため、早い段階で気づくことが重要です。
初期症状について詳しく解説
編集部
変形性膝関節症の初期症状で、最も多いものは何ですか?
蓬󠄀田先生
初期に多いのは、立ち上がりや歩き始めなど、動作の開始時だけ膝が痛む「始動時痛」です。しばらく休むと痛みが軽くなることも多いため、「年齢のせいかな」と見過ごされやすい特徴があります。痛みが持続しないため軽く考えがちですが、こうした始動時痛は初期の重要なサインです。早めに気づき、治療につなげることが肝心です。
編集部
階段の上り下りがつらいのも初期症状なのですか?
蓬󠄀田先生
はい。初期に起こりやすく、変形性膝関節症に気づくきっかけとなることがあります。階段がつらくなる現象は初期から末期まで広く見られますが、特に階段を下りるときなど、膝を深く曲げる動作で痛みが出やすくなります。
編集部
痛み以外にも、初期に気づける症状はありますか?
蓬󠄀田先生
膝のだるさ、重い感じ、こわばり、違和感として始まることがあります。やがて症状が進行すると、膝の痛みがいつまでも続くようになったり、正座や深くしゃがむ動作がやりにくくなったりします。また、腫れぼったさや熱感、水が溜まって張っているような感覚を覚えることもあります。
編集部
音が鳴る、引っかかる感じがあるのも関係ありますか?
蓬󠄀田先生
関係することがあります。変形性膝関節症では、関節を動かしたときの引っかかり感や違和感がみられることがあります。膝の曲げ伸ばしで音が鳴るだけでは必ずしも病気とは限りませんが、痛みや腫れ、動かしにくさを伴う場合は注意が必要です。症状が重なっているなら、自己判断せず整形外科で確認したほうが安心です。

