ウイルス性結膜炎は、眼の充血や目やになどの症状を引き起こす感染性の病気です。どのような症状が出るのかと、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
ウイルス性結膜炎のなかで感染力が強いとされるのは、流行性角結膜炎や咽頭結膜熱、急性出血性結膜炎の3種類です。
本記事では、ウイルス性結膜炎の原因や症状、治療法や感染予防についてわかりやすく解説しています。自分や家族が感染したときにどのように対処すればよいのか、正しく理解するためにも、最後まで目を通してもらえると幸いです。

監修医師:
栗原 大智(医師)
2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。日本眼科学会専門医。
ウイルス性結膜炎の特徴と原因

ウイルス性結膜炎はどのような病気ですか?
ウイルス性結膜炎は、ウイルスの感染によって結膜と呼ばれる白目の表面や、まぶたの内側の粘膜に炎症が起こる病気です。感染すると白目が赤く充血し、目やにや涙が増えることが特徴です。ウイルス性結膜炎は感染力がとても強く、特にはやり目は感染が流行しやすいです。目をこすった手や使用したタオルなどを介して感染していくため、家族や友人、学校や職場などで広がる可能性があります。このため、感染期間中は人との接触を控えて、感染拡大を防ぐことが大切です。
ウイルス性結膜炎の原因を教えてください。
人に感染しやすい代表的なウイルス性結膜炎は以下の3つです。流行性角結膜炎
咽頭結膜熱
急性出血性結膜炎
流行性角結膜炎は8型や19型、37型のアデノウイルスで咽頭結膜熱は3型や4型、7型のアデノウイルスの感染によって発症します。急性出血性結膜炎はエンテロウイルス70型、コクサッキーA24変異株のウイルスが発症の原因とされています。
ウイルス性結膜炎は感染力がとても強く、明確な季節性はありませんが、流行性角結膜炎や咽頭結膜熱は主に6月〜8月を中心に流行しやすいようです。幅広い年齢層で感染しますが、特に1~5歳の小児を中心に発症します。
ウイルス性結膜炎はうつりますか?
ウイルス性結膜炎は主に手指を介した接触感染によって広がり感染力が高いのが特徴です。ウイルスは主に目やにや涙に含まれており、目をこすったり拭いたりしたタオルやハンカチなどから、他人の目に触れることで感染していきます。便や尿からもウイルスが排出されることがあり、プールやお風呂などの水を介した感染事例も報告されています。また、電車のつり革や手すりにも注意が必要です。ウイルスはとても強く簡単には死滅しないため、公共の物品表面に付着している可能性があります。感染者と直接接触していない場合でも間接的にウイルスに感染する可能性があるため、日頃から手洗いをして手指衛生の徹底が感染予防の基本となります。
ウイルス性結膜炎の症状と治療法

ウイルス性結膜炎になるとどのような症状が出ますか?
ウイルス性結膜炎は白目が急に充血し、大量の目やにや涙が出るのが特徴です。この他にも流行性角結膜炎では、まぶたの浮腫や耳の前のリンパ節の腫脹、圧痛が見られます。特に小児が感染した場合や症状が悪化すると、結膜に白い偽膜が形成され、眼球の結膜に癒着する偽膜性結膜炎を引き起こすことがあります。また、異物感や強い痛みがある場合は角膜が傷つき、びらん状態の可能性があるため注意が必要です。発症後1〜2週間すると黒目に小さな混濁が出ることがあり、その影響で光に対して敏感になる羞明の症状が見られるようになります。
咽頭結膜熱は発熱から始まり、頭痛や食欲不振、のどの痛みや結膜炎に伴う目の痛みが特徴です。39度前後の発熱が数日続き、場合によっては吐き気や下痢などの症状が見られます。1週間くらいで軽快しますが、数週間は糞便にウイルスが残っているため、結膜炎が治っても1ヶ月程度はプールに入れません。
急性出血性結膜炎では突然の強い目の痛みや異物感、羞明などから始まり、結膜下出血が起こるのが特徴です。目の腫れ以外にも目の周りに小さなブツブツができたり、黒目の表面が白く濁ることがあります。頭痛や発熱、呼吸器症状が出ることもありますが、通常は1週間程度で回復します。
ウイルス性結膜炎の治療法を教えてください。
ウイルス性結膜炎の治療薬はないとされているため、対症療法が一般的です。対症療法として過剰な炎症を抑える点眼薬や眼軟膏、細菌感染症による二次合併症を防止する抗菌点眼薬を処方されることがあります。症状に併せてステロイド点眼薬を使用する場合もあります。また、ウイルス性結膜炎は一般的に片方の目から症状が出るため、症状のある目だけに点眼をしましょう。症状のない状態で両目に点眼すると、点眼薬の容器から感染することがあるため注意が必要です。症状の出方には個人差があるため、点眼薬の使用は眼科医の指示に従いましょう。
ウイルス性結膜炎はどのくらいで治りますか?
ウイルス性結膜炎の種類によって治るまでの期間が異なります。治癒の目安は以下のとおりです。流行性角結膜炎:発症後2〜3週間
咽頭結膜熱・急性出血性結膜炎:発症から1週間程度
発症後数日から1週間前後で症状のピークを迎え、徐々に軽快していきます。しかし、急性出血性結膜炎のエンテロウイルス70型では、まれに感染後6~12ヶ月以内に手足に運動麻痺が出ることがあり経過観察が必要です。症状や回復具合は個人差がありますが、症状が長引く場合は、早めの眼科受診をおすすめします。
コンタクトレンズを使用してもよいですか?
感染中はコンタクトレンズの使用を中止しましょう。結膜炎になると目の分泌物が通常より多くなります。分泌物がレンズに付着すると汚れの原因となり、症状がさらに悪化します。また、コンタクトレンズやケースにウイルスが付着すると、感染の長期化や重症化のリスクが高まるため注意が必要です。結膜炎の症状が完全に消失するまでは眼科医の指示に従い、眼鏡の使用に切り替えましょう。

