定年退職後、私は長年勤めた建設会社に再雇用され、資材管理などの補助業務をしています。現場の第一線からは退きましたが、あるトラブルをきっかけに、長年の経験が役に立つ場面もあるのだと感じたときのお話です。
若いリーダーとの距離を感じていた
最近の現場リーダーは30代の若手で、私とは親子ほど年が離れています。仕事は真面目でしたが、私のような年配者に対しては、どこか距離を置いているように見えました。
ITを使った管理が当たり前の現場では、昔ながらのやり方を知る私のことを「ITも使いこなせない過去の人」と、あまり頼りにされていないように感じることもありました。あいさつもそこそこに、必要なことだけを伝えられる日々に、少し寂しさを覚えていました。
特殊資材が届かず、現場が止まりかけた
そんなある日、その日の工程に欠かせない特殊資材が届いていないことが判明しました。発注ミスが原因でした。現場リーダーはすぐにパソコンやスマホで代替品を探しましたが、どこも在庫切れ。電話で強い口調になる場面もあり、現場には緊張した空気が漂っていました。
見かねた私は、昔から付き合いのある古い建材店のことを思い出し、「あの店なら在庫があるかもしれません」と声をかけました。しかしリーダーは、「ネットに載っていない店では難しいと思います」と、あまり期待していない様子でした。
それでも私は、昔なじみの店主に電話を入れました。すると、店主はすぐに倉庫を確認してくれ、奥に保管されていた予備の資材が見つかったのです。資材は急いで現場まで運ばれ、工程は無事に再開できました。

