「甘い炭酸飲料は歯に悪い」と分かっていても、ついつい手が伸びてしまう……。そんな経験がある人も多いのではないでしょうか? 今回、パデュー大学の研究グループが、砂糖入り炭酸飲料と無糖炭酸水が口の中の酸性度(pH)や唾液に与える影響を比較した研究結果を発表しました。この内容について大津先生に伺いました。

監修歯科医師:
大津 雄人(歯科医師)
東京歯科大学歯学部卒業。東京歯科大学大学院歯学研究科(口腔インプラント学)修了。医療法人社団GLANZ大津歯科医院院長。東京歯科大学インプラント科臨床講師。専門は口腔インプラント、インプラント周囲顎骨における骨微細構造特性解析の研究をおこなう。日本口腔インプラント学会専門医。
研究グループが発表した内容とは?
編集部
パデュー大学の研究員らが発表した内容を教えてください。
大津先生
パデュー大学の研究員らは、砂糖入りの炭酸飲料が口の中のpH(酸性度を示す指標)を、歯の表面が溶け始める目安である5.5より下げ、歯を傷める原因になることに着目しました。一方、無糖の炭酸水については、あまり研究が進んでいませんでした。そこで今回の研究では、試験管内での飲料のpH変化と、人が実際に飲んだときの唾液のpH変化を調べました。試験管内の実験では、砂糖入り炭酸飲料が最も低いpHを示し、次いで無糖炭酸水、カルシウムを加えた無糖炭酸水、普通の水の順でした。12人の健康な成人による実験でも、砂糖入り炭酸飲料は水に比べて唾液のpHを大きく下げることが確認されました。無糖炭酸水がpHを下げたのは飲み始めの一時的な時間帯のみでした。ただし、どの飲料でも唾液のpHは、歯の表面が溶け始める目安である5.5を下回ることはありませんでした。これらの結果から、砂糖入り炭酸飲料は控えめにし、無糖炭酸水は適量であれば代わりの選択肢になり得ると考えられます。歯を傷める原因とは?
編集部
今回の研究で飲料が歯に与える影響が分かりました。そもそも歯を傷める原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
大津先生
歯を傷める主な原因は、むし歯が進行して象牙質や歯髄(歯の内部の神経や血管の組織)にまで達することです。また、歯周病による歯ぐきや歯を支える骨の炎症、歯が割れるなどの外傷、強いかみ合わせや歯ぎしりによる負担も歯や歯ぐきを傷める原因になります。さらに、歯肉の炎症や口内炎、歯と歯の間に食べものが挟まることも痛みにつながります。中には歯自体が痛みの原因ではなく、かむための筋肉の過緊張や全身の病気が原因であることもあり、自己判断は禁物です。痛みを我慢せず、少しでも異変を感じたら早めに歯科を受診し、原因を確かめて適切なケアを受けるようにしましょう。

