「炭酸水で歯が溶ける」は誤解? 唾液のpHは“5.5”を一度も下回らず…注意すべき人を歯科医が解説

「炭酸水で歯が溶ける」は誤解? 唾液のpHは“5.5”を一度も下回らず…注意すべき人を歯科医が解説

内容への受け止めは?

編集部

パデュー大学の研究員らが発表した内容への受け止めを教えてください。

大津先生

この研究結果は、「炭酸=歯に悪い」と一括りに考えがちな誤解を整理する上で、とても意義のある内容だと思います。
私が伝えたいポイントは、「歯にとって問題なのは炭酸そのものではなく、糖分・酸にさらされる時間・飲み方である」ということです。
無糖の炭酸水は、飲んだ直後に一時的に口の中のpHが下がることはありますが、健康な人では唾液の働きによって比較的短時間で中和されます。そのため、適量を楽しむ程度であれば過度に心配する必要はありません。一方で、砂糖入りの炭酸飲料は糖分がむし歯菌の栄養源になるだけでなく、酸による歯の表面への影響も加わるため、むし歯や酸蝕症(酸によって歯の表面が溶ける状態)のリスクが高くなります。
また、この研究では健康な成人が対象となっていますが、注意したいのは唾液の量が少ない人です。加齢や服用している薬、口呼吸、シェーグレン症候群(涙腺や唾液腺の機能が低下する自己免疫疾患)などで唾液が少ない人では、中和する力が弱くなるため、同じ飲み方でも歯への影響は大きくなる可能性があります。
さらに、飲みものそのものだけでなく、「どのように飲むか」も重要です。
・砂糖入り飲料を長時間ちびちび飲む
・スポーツドリンクや炭酸飲料を頻繁に口にする
・就寝前に飲んでそのまま寝てしまう
このような習慣は、口の中が酸性の状態にさらされる時間が長くなるため、歯への負担が大きくなります。
「炭酸だから悪い」のではなく、「何が入っているか」と「どう飲むか」を考えなければいけません。無糖炭酸水は、水の代わりとして上手に取り入れれば十分な選択肢になります。一方で、砂糖入りの炭酸飲料は「毎日少しずつ飲み続ける」よりも、飲む機会を決めて短時間で飲み終え、その後は水やお茶を飲むことをおすすめします。
歯の健康を守る上で、歯を失う原因は飲みものだけではないということも忘れてはいけません。むし歯や歯周病に加え、近年では強いかみ合わせや歯ぎしり、食いしばりによって歯にヒビが入ったり、詰めものや被せものが壊れたりするケースも数多く見られます。日頃のセルフケアだけでなく、定期的に歯科医院でむし歯・歯周病・かみ合わせを総合的にチェックしてもらうこと――これが歯を長く守るためには何より重要だと考えています。

編集部まとめ

今回の研究から、砂糖入り炭酸飲料は歯への影響が大きく、無糖炭酸水は比較的おだやかであることが分かりました。ただし、無糖炭酸水も飲みすぎには注意が必要です。飲んだ後は水で口をすすぐ、だらだら飲みを避ける、丁寧に歯みがきをするなど、日々のちょっとした工夫を積み重ねて、大切な歯を長く守っていきましょう。

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。