「日本昔ばなし」を引き合いに出す声も
議論はさらに派生し、「子供の思考力や受容能力を過小評価すべきではない」とする立場からの意見も大きな広がりを見せた。過去の児童向けコンテンツや古典作品を引き合いに出し、幼少期に「毒」や「理不尽」を含んだ物語に触れる重要性を訴える声だ。
「あんな内容じゃ子供に見せられないとの意見があるらしいけど子供を舐め過ぎ。昔の子供は日本昔話で鍛え上げられました」
「映画ちいかわすら『お子に見せられない』のならなんのアニメなら見せられるんだろう。そうやって守ってるつもりなんだろうけど親が子供の考える力を勝手に決めつけて奪ってるだけ。同じ子供でも映画観終わった時の反応も感想も全然違うのに」
昔話の『かちかち山』のように、残酷さや割り切れなさを内包した作品に触れて成長した経験から、過度な保護はかえって子供の想像力を奪うのではないかとする懸念である。一方で、道徳的な議論以前に、映画館という空間で突きつけられる不穏な空気感そのものが幼児に恐怖を与えたという実体験の報告もあり、「対象年齢や成熟度に応じた配慮は必要」という現実的な着地点も提示されている。
一筋縄ではいかない結末を「見せるべきではないリスク」と捉えるか、「複雑な世界を知り、思考を深める対話の契機」と捉えるか。ひとつの描写がこれほど多層的な解釈と真剣な議論を引き出していること自体が、「映画ちいかわ」の圧倒的な影響力を物語っているといえるだろう。

