「自分は何歳から内視鏡検査を受ければよいのか」と迷う人は少なくありません。大腸がん・胃がんの発症リスクは40代以降に高まるため、症状がなくても40歳ごろからの受診が一つの目安になります。ただし、血便や胃痛、飲み込みにくさ、体重減少などの症状がある場合は、年齢を問わず早めの検査が重要です。また、ピロリ菌の感染歴がある人や、家族に胃がん・大腸がんの人がいる場合は、30代のうちに検査を検討したほうがよいケースもあります。年齢・症状・家族歴からみた内視鏡検査の受診目安について、東京下町おなか内視鏡クリニック 葛飾金町院の三井先生に聞きました。
※2026年6月取材。

監修医師:
三井 智広(東京下町おなか内視鏡クリニック 葛飾金町院)
2014年3月に昭和大学医学部(現・昭和医科大学医学部)を卒業。2014年4月から横浜市立みなと赤十字病院で臨床研修を行い、横浜南共済病院消化器内科、横浜市立大学附属市民総合医療センターIBDセンター・内視鏡部、国立がん研究センター東病院消化管内視鏡科、埼玉県立がんセンター内視鏡科医長を経て、2025年4月に東京下町おなか内視鏡クリニック 葛飾金町院へ入職した。
内視鏡検査を受けたほうがよい年齢とその理由
編集部
何歳くらいから大腸の内視鏡検査を受けたほうがよいのでしょうか?
三井先生
40歳ごろからの受診を推奨しています。厚生労働省が推奨する「大腸がん検診(便潜血検査)」も40歳から始まるためです。
編集部
40歳を過ぎたら、症状がなくても受けたほうがよいのでしょうか?
三井先生
はい。気になる症状がなくても検査をおすすめします。大腸内視鏡検査の大きな目的は大腸がんの早期発見ですが、初期の大腸がんには特に症状がない場合も多いためです。
編集部
胃の内視鏡検査は、何歳くらいから受けたほうがよいのでしょうか?
三井先生
胃の内視鏡検査も大腸と同様に、40歳ごろからの受診を推奨しています。
編集部
なぜ、どちらも40歳ごろから推奨されるのでしょうか?
三井先生
40代になったら発症リスクを意識し始めるべきだからです。大腸がんは40歳ごろから発症リスクが上がり、胃がんは50歳ごろからリスクが上がります。近年では若年者の発症も増えているため、40代になったら大腸内視鏡検査、胃内視鏡検査ともに検討をおすすめします。
内視鏡検査を検討すべき症状
編集部
胃の内視鏡検査を考えたほうがよい症状には、どのようなものがありますか?
三井先生
飲み込みにくさ、体重減少、続く吐き気や嘔吐(おうと)、胃痛、吐血や黒色便などの出血症状です。これらの症状がある場合は、40歳を待たずに一度検査を受けることをおすすめします。
編集部
ピロリ菌も胃がんの原因になると聞きました。
三井先生
はい。ピロリ菌に感染している人、または過去に感染していた人は、40歳までに一度は胃内視鏡検査の受診を推奨します。すでに除菌していても、ピロリ菌に感染した経験がない人と比較して、胃がんのリスクが高い状態が続くためです。実際に、日本人の胃がんの多くにはピロリ菌感染が関わっているとされています。感染の有無を確認するため、40歳までに一度はピロリ菌検査を受けることも重要です。
編集部
大腸の内視鏡検査を考えたほうがよい症状は何でしょうか?
三井先生
血便が出る、排便後使用したトイレットペーパーに血液がつく、便が細くなる、便秘と下痢を繰り返す、原因不明の貧血がある、体重減少、長引く腹痛、おなかが張るなどの症状です。便潜血検査が陰性であっても、これらの症状があれば内視鏡での確認が有効です。
編集部
市販薬で様子を見ていてもよいケースと、受診すべきケースの違いはありますか?
三井先生
軽い胃もたれや一時的な便通異常で、短期間に改善する場合は経過を見るケースもあります。一方で、症状を繰り返す、数週間続く、体重減少や出血を伴う場合は、市販薬で様子を見るだけでは不十分です。特に、黒色便、血便、嚥下(えんげ)困難(飲み込みにくさ)はがんのリスクも考えられるため、自己判断せずに内視鏡検査を行っている医療機関へなるべく早く相談してください。
編集部
年齢が若ければ、少々様子を見てもよいのでしょうか?
三井先生
年齢にかかわらず、症状がある場合は内視鏡検査を含めた精密検査を検討してください。20代や30代でがんを発症する人は多くはないものの、血便や貧血、嚥下障害、体重減少などがあれば、がんを含む何らかの病気が原因となっている可能性があります。内視鏡検査の開始年齢は40歳が一つの基準とはいえ、これは症状がなく、発症リスクが平均的な人を対象とした目安です。

