犬の外耳炎が治らない!注意したい「耳のしこり」の種類と特徴【獣医師執筆】

犬の外耳炎が治らない!注意したい「耳のしこり」の種類と特徴【獣医師執筆】

外耳炎が治らないときに疑うべき「耳のしこり」とは

芝生の上で耳を掻いている犬

犬の外耳炎は非常に多い病気で、かゆみや赤み、悪臭のある耳垢などが主な症状です。点耳薬や内服薬で改善することが多い一方で、「治療してもすぐ再発する」「片側だけずっと腫れている」といったケースもあります。こうした場合、単なる炎症ではなく、耳の中に隠れた異常が存在している可能性があります。

その代表が耳のしこりです。しこりと聞くと腫瘍を想像するかもしれませんが、実際には炎症性ポリープ、皮脂腺の嚢胞、耳垢が袋状にたまる嚢腫、さらには中耳に関連する病変まで、さまざまなものが含まれます。犬の耳のしこりには良性のものから悪性腫瘍まで幅広い原因があることも知られています。

外耳道はL字型に曲がった細い管で、内部は皮膚で覆われています。慢性的な炎症が続くと皮膚が厚くなり、分泌腺が過形成を起こし、しこり状に盛り上がることがあります。この状態では薬が奥まで届きにくくなり、いくら治療しても炎症がくすぶり続けるという悪循環に陥ります。

つまり、「治らない外耳炎」の背景には、耳道の中に物理的な障害物が存在している場合があるのです。

耳のしこりにはどんな種類があるのか

首を傾げて正面を見つめる犬

犬の耳にできるしこりにはいくつかのタイプがあります。比較的よくみられるのは皮脂腺嚢胞です。これは皮膚の分泌物が袋状にたまり、膨らんだ状態です。外耳炎を繰り返す犬では分泌腺の働きが活発になり、嚢胞形成が起こりやすくなります。

また、慢性炎症の結果として炎症性ポリープが形成されることもあります。これは粘膜や皮膚が増殖してできる良性の塊ですが、耳道を物理的に塞いでしまうため、通気性が悪化し、細菌や酵母が繁殖しやすくなります。

さらに注意が必要なのが中耳や鼓室に関連する病変です。たとえば真珠腫と呼ばれる病変は、角化物が中耳内に蓄積する状態で、慢性外耳炎が背景にあることが多いとされています。耳の嚢胞や中耳病変は、神経症状や顔面神経麻痺を引き起こす可能性もあります。

腫瘍性病変も忘れてはいけません。耳垢腺癌や扁平上皮癌などの悪性腫瘍は、とくに高齢犬で発生することがあります。初期には外耳炎と区別がつきにくく、出血しやすい、しこりが硬い、急速に大きくなるといった特徴がみられることがあります。

このように、耳のしこりと一言でいっても、その性質や重症度はさまざまです。大切なのは「いつもの外耳炎」と決めつけず、治療に反応しない場合は追加検査を検討することです。

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