「子どものころ、ジュースや甘い飲みものをよく飲んでいた」という人も多いのではないでしょうか? そうした習慣が、将来の高血圧リスクに関わっている可能性があることが、トロント大学の研究で示されました。加糖飲料や果汁を多く飲む人は高血圧になりやすい一方、生の果物を食べることはリスクと関連しなかった――この内容について後平先生に伺いました。

監修医師:
後平 泰信(医療法人徳洲会札幌もいわ徳洲会病院)
2009年に旭川医科大学医学部を卒業。循環器内科のスペシャリストとして、長年、札幌東徳洲会病院を中心に救急医療や心疾患の治療に従事。2023年には睡眠・無呼吸・遠隔医療センター長を歴任し、最新技術を用いた診療体制の構築に尽力。2024年より病院長に就任し、2025年10月の「札幌もいわ徳洲会病院」への名称変更。日本循環器学会 認定循環器専門医。日本睡眠学会 総合専門医・指導医。日本スポーツ協会公認 スポーツドクター。日本内科学会 認定内科医。
研究グループが発表した内容とは?
編集部
トロント大学の研究員らが発表した内容を教えてください。
後平先生
研究チームは、米国の若者約2万5000人を対象に、平均12歳~36歳まで最長25年間追跡した研究を行いました。果糖(果物や飲料に含まれる糖の一種)の摂取量全体で見ると、高血圧の発症とは関連が見られませんでした。しかし、飲みものの種類ごとに分けて調べると異なる結果が出ました。加糖飲料(甘い清涼飲料など)を1日2杯以上飲む人は、週3杯未満の人に比べて高血圧になるリスクが約1.5倍高く、果汁100%ジュースを1日1.5杯以上飲む人は、週1杯未満の人に比べて約1.35倍高いことが分かりました。一方、生の果物をそのまま食べることは高血圧のリスクとは関連していませんでした。さらに、加糖飲料や果汁を、1日1杯だけ牛乳や水、生の果物に置き換えると、高血圧のリスクが9~22%低下することも示されました。これらの結果は、子どものころから加糖飲料や果汁の摂りすぎを控えることが、高血圧の予防につながる可能性を示唆しています。
高血圧の予防法とは?
編集部
今回のテーマに関連する、高血圧の予防法について教えてください。
後平先生
高血圧の予防には、日々の食事を見直す工夫が大切です。食塩摂取量は1日6g未満を目指し、かつお節や昆布でとっただしのうまみ、香り、酸味を上手に生かして、調味料の使用量をできるだけ減らしましょう。野菜や果物、魚を積極的に取り入れつつ、コレステロールや飽和脂肪酸の摂りすぎには注意してください。肥満気味の方は、急激な減量は避け、長期的な計画の下で無理のない適正体重の維持を心がけましょう。お酒は純アルコールで1日20g程度を目安にし、週2回程度の休肝日を設けて飲みすぎを防ぐことが大切です。こうした食習慣の見直しを日々の暮らしに無理なく取り入れて、高血圧の予防・改善に努めましょう。
