「救急車を呼ぶべき症状」をご存じですか? 迷ったら確認したい4つの基準『ABCD』を医師が解説

「救急車を呼ぶべき症状」をご存じですか? 迷ったら確認したい4つの基準『ABCD』を医師が解説

夜間に急な体調不良が起きたとき、「救急車を呼ぶべきか」「夜間診療で様子を見るべきか」と迷う人は少なくありません。強い胸の痛みや突然の激しい頭痛、呼吸困難、意識がもうろうとしているといった症状は、迷わず救急要請すべきサインです。判断に迷う場合は、気道・呼吸・循環・意識の4つを順に確認する「ABCDアプローチ」が手掛かりになり、一つでも異常があれば救急要請を検討します。自分で判断できないときは、救急安心センター(#7119)や小児救急電話相談(#8000)も活用できます。救急車を呼ぶ基準と夜間診療との使い分けについて、久里浜横井クリニックの横井先生に聞きました。

横井 英人

監修医師:
横井 英人(久里浜横井クリニック)

2011年川崎医科大学医学部卒業。2013年横浜市立大学救急医学教室入局。横浜市立大学附属市民総合医療センター、帝京大学医学部附属病院、横浜医療センター、済生会横浜市南部病院、長崎県対馬病院、横須賀共済病院などを経て現職。日本外科学会外科専門医、日本救急医学会救急科専門医、医学博士(救急医学)。2024年東京ノービス大会マスターズ第2位。

救急車を呼ぶべき「危険な症状」の目安

救急車を呼ぶべき「危険な症状」の目安

編集部

夜間に体調が悪くなったとき、救急車を呼ぶべきか迷う場合があります。何か判断基準はありますか?

横井先生

「命に関わる可能性がある症状が見られるか?」が最も重要な判断基準です。例えば、強い胸の痛みがある、突然激しい頭痛が起きた、呼吸困難、意識がもうろうとしている、けいれんが続く、大量出血しているという場合は迷わず救急要請をしてください。ほかにも症状が急激に悪化している、会話が成立しないといった場合も緊急性が高いサインです。

編集部

それ以外の症状はどう判断したらよいのでしょうか? 焦って冷静に判断できなくなりそうです。

横井先生

焦ってしまいそうな状況では、救急患者さんの生命危機を迅速に評価し、対応するための医療手順である「ABCDアプローチ」を覚えておくと便利です。ABCDアプローチは生命が維持されているかを、生理学的な機能に従って判断する手だてです。

編集部

具体的に教えてください。

横井先生

AからDまでの基準を順番に確認します。まずAは気道(Airway)です。気道が開通しているか、窒息していないかを確認します。次にBは呼吸(Breathing)です。呼吸が正常か、速くなったり、遅くなったりしていないかを確認します。

編集部

C以降はどういうものでしょうか?

横井先生

Cは循環(Circulation)です。唇が真っ青になっていないか、手足が青白くないか、チアノーゼ(皮膚や粘膜が青紫色になる症状)が起きていないかなどを確認します。唇の変色などが見られたら、血圧が急激に下がりショック状態になっていると疑われます。最後にDは中枢神経障害(Dysfunction of CNS)です。意識があるか、肩を軽くたたきながら呼びかけて目が開くかなどを確認します。4つのうち一つでも異常があれば、救急要請を検討してください。

 

編集部

ABCDアプローチの基準に沿っても判断できない場合、「念のため」に救急車を呼んでもよいのでしょうか?

横井先生

呼ぶべきか迷うほど不安が強いときは、ためらう必要はありません。ただし、タクシー代わりの利用や「救急外来が混んでいるから」「救急車なら早く診てもらえるから」といった理由での要請は控えてください。救急車は限られた資源であり、不適切な利用によって、心肺停止状態にある人の元への到着が遅れるおそれがあるためです。

夜間診療と救急外来の違い・受診の目安

夜間診療と救急外来の違い・受診の目安

編集部

自分では緊急かどうか判断できないときはどうすればよいですか?

横井先生

救急安心センター(#7119)を活用してください。医師や看護師などの専門家が多くの地域で24時間体制で待機しており、症状を伝えると、「すぐに救急車を呼ぶべきか」「受診が必要か」について客観的なアドバイスが受けられます。子どもの場合は「小児救急電話相談(#8000)」を利用できます(受付時間は地域によって異なります)。

編集部

救急安心センター(#7119)は日本中どこでも使えるのですか?

横井先生

地域によっては利用できない場合もあります。利用できない地域では、まず症状が安定しているかを確認し、悪化しているなどの変化が見られる場合は、地元の救急病院への受診を検討してください。夜間や休日でも開いている診療所があれば、そちらを利用するのも一つの方法です。

編集部

夜間診療と一般の救急外来にはどのような違いがあるのでしょうか?

横井先生

夜間診療(休日夜間急病診療所など)は、簡易的な応急処置を行う場所です。翌日の専門外来につなぐ役割があり、精密検査や入院が必要な重症例を扱うケースは少ないのが特徴です。一方、病院の救急外来は、より重篤な患者さんを24時間体制で受け入れています。

編集部

どちらに行くべきか迷った際の目安はありますか?

横井先生

迷った際は救急安心センター(#7119)などを利用し、現在の症状を伝えて適切な誘導を受けるとよいでしょう。軽い症状で大きな病院の救急外来を受診すると、重症者の対応が優先されるため、待ち時間が非常に長くなる点に注意が必要です。

編集部

夜間に受診するか、翌朝まで待つかの目安はありますか?

横井先生

症状が安定していて悪化の兆候がない、水分や食事が取れる、意識がはっきりしている場合は、翌朝まで様子を見るのも選択肢になります。ただし、痛みが強くなっている、ぐったりしている、症状が急速に進行している場合は夜間でも受診を検討してください。

配信元: Medical DOC

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