健康診断の「LDLコレステロール」の異常で気をつけたい病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「LDLコレステロール」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
脂質異常症
脂質異常症は、血液中のLDLコレステロール(悪玉)が増えすぎたりHDLコレステロール(善玉)が不足したりして、血液中の脂質のバランスが崩れる病気です。
主な原因には、過剰な脂質の摂取や運動不足、ストレスなどが挙げられます。また、女性の場合は閉経によって女性ホルモンが減少すると発症しやすくなります。治療の基本は、生活習慣の改善と薬物療法です。基本的には自覚症状が無いため、健康診断で異常を指摘されたらかかりつけの内科や循環器内科を受診しましょう。
動脈硬化症・動脈硬化
動脈硬化症は、心臓から血液を送り出す「動脈」の弾力性が失われたり、内部が狭くなり血流がスムーズに流れなくなったりする病気です。
LDLコレステロールの高い状態や高血圧、糖尿病、喫煙、飲酒などがリスク因子となります。治療の基本は、リスクとなる持病の治療や生活習慣の改善です。健康診断で異常を指摘された場合は、かかりつけの内科や循環器内科を受診しましょう。
狭心症・心筋梗塞
狭心症や心筋梗塞は、心臓を囲む冠動脈が動脈硬化によって狭くなったり、完全に詰まったりすることにより、心臓に栄養や酸素が不足する病気です。LDLコレステロールが高い状態は、狭心症や心筋梗塞のリスクを上昇させます。どちらも症状は胸の痛みや息苦しさです。狭心症は数十秒から数分程度で症状が治まりますが、心筋梗塞は時間がたっても症状は治まりません。また、心筋梗塞の方が強い胸の痛みがあらわれます。
とくに心筋梗塞は、発症してからどれだけ早く治療を開始できるかがその後の予後に関わります。強い胸の痛みが現れたら迷わず救急車を呼び、専門的な治療を受けられる医療機関を受診しましょう。
脳梗塞
脳梗塞は、脳の血管が詰まって血流が途絶え、周囲の組織が壊死する病気です。代表的な症状は、半身まひやしびれ、言語障害や意識障害などです。血中のLDLコレステロールが高いと血管が詰まりやすくなるため、リスクが上昇します。
脳梗塞の治療は、血栓を溶かす薬を使う、カテーテルを血管に通して血流を回復させるなどです。どちらの治療法も発症してから早い時期でないと十分な効果が得られないため、気になる症状が現れたらすぐに救急車を呼び、専門的な治療を受けられる脳神経外科を受診しましょう。
「女性のLDLコレステロールの基準値」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「女性のLDLコレステロールの基準値」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
女性の年代別でLDLコレステロール値が変動する理由はなんでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
主な原因は、加齢にともなう女性ホルモン(エストロゲン)の減少と基礎代謝の低下です。閉経が近づいてエストロゲンの分泌が低下すると、エストロゲンによるLDLコレステロールを下げる効果が弱まるため、自然と数値が上がりやすくなります。実際に、令和6年に厚生労働省がおこなった調査によると、血清LDLコレステロールが160mg/dl以上と高い値にある女性の割合は、40代では6.4%であるのに対し、50代女性では14.9%と2倍以上に急上昇していました。毎年の健康診断を習慣づけ、LDLコレステロール値が高い場合は内科で相談しましょう。
LDLコレステロールで薬の服用が必要になる値はいくつでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
LDLコレステロールで薬の服用が必要になる数値は、その方の持病や生活習慣などによって異なります。持病や生活習慣などから動脈硬化、冠動脈疾患になるリスクが高いと判断された方は、リスクの低い方よりもLDLコレステロール値をしっかりと管理するため、早めに治療を開始します。具体的には、リスクの高い方は120mg/dl以上、リスクの低い方は160mg/dlという管理目標値が一つの目安となるでしょう。ただし、実際に薬を開始するタイミングは個人の状況によって異なるため、主治医に確認してみてください。
更年期以降でLDLコレステロール値を下げる運動は何が良いでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
LDLコレステロールが気になる更年期以降の方におすすめの運動は、ウォーキング(やや速足)、ゆっくりとしたジョギング、水泳です。膝や腰への不安がある方は、水中でのウォーキングもおすすめです。1日あたり合計30分以上を週3回以上(できれば毎日)おこなうのが望ましいとされています。ただし、運動習慣のない方がいきなり激しい運動をすると、ケガをする可能性もあります。無理のない範囲から始めて、少しずつ時間や強度を上げていきましょう。

