水深1800メートル超に「オタマジャクシ」? 深海で“謎の海洋生物”を発見【海外】

水深1800メートル超に「オタマジャクシ」? 深海で“謎の海洋生物”を発見【海外】

 太陽の光が届かない世界には、想像以上に多様な生き物が潜んでいるようです。今回、米国の研究チームが南カリフォルニア沖を調査したところ、水深1800メートルを超える海域で新種とみられる生物に遭遇しました。

 透明な体から伸びる触手、その先端には暗闇で光る奇妙な“ルアー”。この奇妙な生物はいったい何なのでしょうか。

チャンネル諸島沖、水深1800メートル超で新種を発見

 新種を発見したのは、米モントレー湾水族館研究所(MBARI)の研究チーム。研究者らは旗艦研究船「デビッド・パッカード」に乗り込み、モントレー湾からチャンネル諸島にかけて10日間の調査航海を実施しました。

 目的は、クラゲやクシクラゲ、サイフォノフォアなど、ゼラチン質の体を持つ海洋生物の多様性を調べること。モントレー沖の冷たい海から南カリフォルニアの暖かい海へ移るにつれて、生物の種類や生態がどう変化するのかも調査しました。

 深海探査に投入されたのが、遠隔操作型無人探査機(ROV)「ドク・リケッツ」です。MBARIが開発した暗闇に強い特殊なカメラも使用し、研究チームは海洋のミッドナイトゾーンと呼ばれる暗い深海へ。今回の探査では水深3700メートルにまで到達し、クラゲや発光するナマコなど、まるで別の惑星にいるかのような生物を次々と観察しました。

 そして水深1800メートルを超える海域で発見されたのが、エレンナ属のサイフォノフォアの新種です。

 サイフォノフォアはクラゲなどと同じ刺胞動物の仲間で、透明で細長い体から触手を垂らすものもいます。研究チームを率いるスティーブン・ハドック氏によると、今回の新種には、これまで知られていた仲間とは異なる特徴がありました。

暗闇で光る、オタマジャクシのようなルアー

 特に目を引いたのが、下へ垂れ下がった触手の先端です。そこには指のように枝分かれした突起があり、さらに発光する部分が付いていました。

 その姿をハドック氏は「オタマジャクシのよう」と表現しています。大きく丸い頭のような部分には、まるで目の位置にあるかのような2つの点があり、そこから長い尾のような部分が伸びているとのこと。この奇妙な物体を、暗闇の中でくねくねと動かすのです。

 もちろん、ただ目立つために光っているわけではありません。深海は海洋の表層に比べて、餌となる生物との遭遇機会が少ない世界です。

 そこでサイフォノフォアは、触手の先端を発光させて遠くにいる獲物をおびき寄せ、近づいてきたところを捕らえると考えられています。いわば、深海に仕掛けられた“光る釣りざお”です。

 研究者らは当初、今回の個体をすでに知られているエレンナ属の一種だと考えていたようです。しかし、ルアーの形を詳しく観察すると明らかな違いがあったことから、新種と判断しました。

 さらに興味深いのは、ルアーの形が違えば、おびき寄せる獲物も異なる可能性があることです。

 同じ深海に複数のサイフォノフォアが暮らしていても、それぞれが異なる獲物を狙えば競争を減らせます。ハドック氏は、触手やルアーの多様性によって、それぞれの種が生態系の中で独自の持ち場を獲得している可能性を指摘しています。

 なお、新種については今後さらに詳しい調査と記録が行われる予定で、写真も現時点では公式に公開されていません。

配信元: ねとらぼ

提供元

プロフィール画像

ねとらぼ

「ねとらぼ」は、ネット上の旬な情報を国内外からジャンルを問わず幅広く紹介するメディアです。インターネットでの情報収集・発信を積極的に行うユーザー向けに、ネットユーザーの間で盛り上がっている話題や出来事、新製品・サービスのほか、これから興味関心を集めそうなテーマや人物の情報などを取り上げ、ネットユーザーの視点でさまざまなジャンルのトレンドを追います。