毎朝のコーヒーやお茶が欠かせないという人は多いのではないでしょうか。身近なカフェインが、心臓や血管の健康にどのような影響を与えるのか、気になったことはありませんか?
今回、米国心臓協会(AHA)の専門委員会が、カフェインと心血管の関係について科学的声明(ステートメント)を発表しました。この内容について、伊藤先生に伺いました。

監修医師:
伊藤 重範(医師)
名古屋市立大学卒業。関連病院、ワシントン(DC)ホスピタルセンター循環器内科、豊橋ハートセンター、名古屋市立東部医療センター(現・名古屋市立大学医学部附属東部医療センター)等を経て、医療法人三九会三九朗病院循環器内科勤務中。
専門委員会が発表した内容とは?
編集部
米国心臓協会の専門委員会が発表した内容を教えてください。
伊藤先生
米国心臓協会の専門委員会は、これまでの研究を総括し、カフェインが心臓や血管に与える影響について報告しています。この報告では、習慣的なコーヒー摂取と血圧の関係は逆J字型(少量ではリスクがやや上がり、量が増えると下がる傾向)を示し、2型糖尿病の発症リスク低下とも関連しています。カフェイン自体はコレステロールに影響しませんが、フレンチプレス(金属フィルターで抽出し、紙フィルターを通さない器具)など、ろ過していないコーヒーに含まれる成分はLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を上げるため注意が必要です。コーヒー習慣は心房細動(脈が乱れる不整脈)のリスクを下げる一方、心室期外収縮(脈が一瞬飛ぶ不整脈)を増やす傾向があります。1日1.5~4杯程度のコーヒーは、冠動脈疾患(心臓に栄養を送る血管が狭くなったり詰まったりする病気)や心不全、脳卒中のリスク低下とも関連しています。ただし、エナジードリンクなど高用量のカフェインについては、研究データは限られるものの、血圧上昇や重い不整脈など心臓への悪影響が示唆されているため、摂りすぎには注意しましょう。カフェインの適度な摂取について
編集部
カフェインの適度な摂取について教えてください。
伊藤先生
今回の声明では、コーヒーやカフェインの適度な摂取が、高血圧や2型糖尿病、心房細動、脳卒中などのリスク低下と関連することが示されています。一方で、農林水産省は過剰摂取への注意を呼びかけています。市販のエナジードリンクなどには、缶や瓶1本でコーヒー約2杯分に相当するカフェインを含むものもあり、成分表示を確認しながら飲みすぎないようにする必要があります。また、アルコールやカフェインを含む医薬品と一緒に摂取するのも避けるべきとされています。子どもや妊婦、授乳中の人、カフェインに敏感な人は、カフェインレス(脱カフェイン)製品も活用しながら、カフェインとうまく付き合っていきましょう。
