
昨年秋のツアーの様子
岩手県久慈市山形町で、8月22日(土)~23日(日)の2日間、親子で参加できる体験ツアー「いのちの物語体験」が開催される。
親子で一緒に考える“旅育”プログラム
「いのちの物語体験」の舞台となるのは、岩手県北部の山あいにある久慈市山形町。広大な自然の中で育つ「山形村短角牛」と、人と牛がともに生きてきた歴史から生まれた「北限の闘牛」の文化が今も息づいている。
牛に出会い、自然の中を歩き、地域の人から話を聞き、最後にはその土地で育った牛をいただく。「食べるって、どういうこと?」「いただきますって、どういう意味?」を親子で一緒に考える夏休みの“旅育”プログラムだ。子どもだけでなく大人にとっても、日々の食や暮らしを見つめ直す時間になる内容となっている。
スーパーに行けばきれいにパックされた肉が並んでいるが、その向こう側に「生きていた牛」がいて、その命を育てる人がいて、牛を育む草原や森があることを、日々の暮らしの中で実感する機会は多くない。
久慈市山形町には牛と人がともに暮らしてきた風景が残っている。牛が草を食み、人が牛を育て、牛が地域の暮らしを支え、その命をいただく。今回の旅ではそうした「食卓の向こう側」にある物語に実際に触れることができる。
なぜ、山形町に「闘牛」の文化があるのか

南部牛が塩を背負って通った「塩の道」
久慈市山形町を含む旧南部藩の地域では、かつて「南部牛」と呼ばれる牛が農耕や荷物を運ぶ役牛として人々の暮らしを支えていた。沿岸部から内陸部へ塩などの荷物を運ぶ際には多くの牛を連れて長い道のりを歩いたといわれ、その牛の群れをまとめるリーダーを決めるために牛同士を角突きさせたことが、地域に伝わる闘牛文化の背景にあるとされている。
久慈市山形町の闘牛で特徴的なのは、勝敗をつけることだけを目的としたものではないこと。牛を傷つけないよう、人が牛の間に入り、頃合いを見て引き分けにする。そこにあるのは「牛と闘わせる文化」というより、牛を大切な家族や仲間として扱い、ともに暮らしてきた人々の文化だ。
