「花粉症・喘息」でがんリスクは上がる? 国立がん研究センターの10万人調査を医師が解説

「花粉症・喘息」でがんリスクは上がる? 国立がん研究センターの10万人調査を医師が解説

花粉症や喘息(ぜんそく)など、アレルギー体質に悩む人は少なくありません。実は近年、こうしたアレルギーや喘息の既往と、がんのなりやすさとの関係が注目されています。
国立がん研究センターの研究員らは、日本人集団におけるアレルギーや喘息の既往歴とがんリスクとの関連を調べ、その研究結果を発表しました。今回は、この内容について春日先生に伺いました。

春日 武史

監修医師:
春日 武史(医師)

練馬光が丘病院総合救急診療科集中治療部門

研究グループが発表した内容とは?

編集部

国立がん研究センターの研究員らが発表した内容を教えてください。

春日先生

この研究は、日本公衆衛生センターを基盤とする前向き研究「JPHC研究」のデータを用いて実施されました。約10万3700人を平均17.9年間追跡し、期間中に1万7679例のがんが確認されました。参加者の6.5%が、医師からアレルギーまたは喘息と診断された経験があると回答していました。
研究グループは、年齢や生活習慣などの影響を統計学的に調整し、アレルギーや喘息の既往と、がん全体および部位別のがんとの関連を検討しました。
アレルギーや喘息の既往と、がん全体の発症リスクとの間には、明確な関連は認められませんでした。一方、部位別にみると、アレルギーまたは喘息の既往がある人では甲状腺がんの発症リスクが高い可能性が示されました。ただし、この結果は統計学的に境界域で、多くのがんを同時に比較した影響を考慮すると有意な関連とはいえず、慎重に解釈する必要があります。
また、喫煙経験のある男性では大腸がん、喫煙経験のない女性では子宮頸がんの発症リスクが高いという結果も得られました。ただし、これらは性別や喫煙歴によって参加者を分けたサブグループ解析の結果であり、現時点でアレルギーや喘息がこれらのがんを引き起こすと判断することはできません。

がんの要因とは?

編集部

今回のテーマに関連するがんの要因について教えてください。

春日先生

がんは一つの原因だけで発症するものではなく、加齢や遺伝的要因に加え、喫煙、飲酒、食生活、運動不足、体重、感染など、さまざまな要因が複合して発生します。日本人では、男性の4割以上、女性の約4分の1のがんが、生活習慣や感染に関連していると推計されています。
中でも喫煙は、多くのがんに関係する重要な要因です。肺がんだけでなく、口腔・咽頭がん、食道がん、胃がん、膵がん、膀胱がんなどのリスクも高め、受動喫煙も肺がんなどのリスクに関係します。飲酒も、口腔・咽頭がん、食道がん、肝がん、大腸がん、乳がんなどとの関連が知られています。
食塩の多い食事、運動不足、肥満なども一部のがんのリスクに関係します。一方、極端なやせも健康上望ましいとはいえないため、適正体重を維持することが大切です。
また、B型・C型肝炎ウイルス、ヘリコバクター・ピロリ菌、ヒトパピローマウイルスなどの感染も、がんの重要な原因です。禁煙や節度ある飲酒、適度な運動、バランスのよい食事に加え、肝炎ウイルス検査、ピロリ菌への適切な対応、HPVワクチン接種、推奨されるがん検診を受けることで、がんの発症や死亡のリスクを減らせる可能性があります。
配信元: Medical DOC

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