マンモスやサーベルタイガーの化石で世界的に知られる、米ロサンゼルスにある天然アスファルトの池である「La Brea Tar Pits(ラ・ブレア・タールピッツ)」。ここで約70年前に発掘され、博物館に保管されていた小さな骨を研究者が改めて調べたところ、氷河期に生息していた未知の両生類だったことが分かりました。
新種はスキアシガエルの仲間で、「Spea labreae」と命名されています。北米で更新世の絶滅両生類が発見されたのは、これでわずか2例目です。
1950年代に発掘された骨に「宝物」が眠っていた
発見のきっかけは、新しい化石の発掘ではありませんでした。
研究を率いたアルベルト・クルス博士は、ラ・ブレア・タールピッツでポスドク研究員として、これまで十分に研究されてこなかった爬虫類や両生類の標本を再調査していました。対象となったコレクションは、約30年にわたって詳細な研究が行われていなかったものです。
その中で博士の目に留まったのが、1950年代の発掘で見つかった小さな骨でした。既知のスキアシガエル類とは形に違いがあったのです。
ただし、最初から新種と考えたわけではなかったようです。当初は、生前の病気やけがによって骨が変形した古病理学の例ではないかと考えたといいます。
クルス博士は骨の形や大きさを詳しく調べ、ロサンゼルス郡自然史博物館やカリフォルニア大学バークレー校脊椎動物学博物館に所蔵されている現生種など、計80点の標本と比較。何度も検討を重ねた末、既知の種とは異なることを突き止めました。
マンモスよりずっと小さい骨が、なぜ重要?
ラ・ブレア・タールピッツは、巨大なマンモスやサーベルタイガーなどの化石で注目されます。しかし、過去の環境を読み解くうえで、小さなカエルやサンショウウオなども貴重な手がかりになります。
両生類は一生の間に移動する距離が比較的短く、気温や湿度といった環境の変化に敏感です。そのため、ある時代の地層から「どの両生類が見つかり、どの両生類が見つからないか」を調べれば、当時の気候や環境を細かく推測できます。
一方で、両生類の骨は小さく、しかも壊れやすいため、そもそも化石として残りにくいという難点があります。天然アスファルトによって生物の遺骸が保存されたラ・ブレア・タールピッツだからこそ、今回のような発見につながったといえるのかもしれません。
研究者らは、実際にはもっと多くの両生類や爬虫類が過去に絶滅したものの、骨が繊細すぎて化石記録に残っていない可能性もあると考えています。

