捻挫の再発を防ぐ「3つのリハビリ」とは? 治るまでの期間も医師が解説

捻挫の再発を防ぐ「3つのリハビリ」とは? 治るまでの期間も医師が解説

足関節捻挫は「軽いけが」と思われがちですが、適切な治療やリハビリテーション(以下、リハビリ)を行わないと再発を繰り返しやすくなります。では、治るまでにどのくらいかかるのでしょうか? 今回は、再発リスクを抑えるためのリハビリの重要性と、回復までの目安について、整形外科 ぐんまの森クリニック院長の濱野先生に聞きました。

※2026年6月取材。

濱野 哲敬

監修医師:
濱野 哲敬(整形外科 ぐんまの森クリニック)

老年病研究所附属病院、群馬大学医学部附属病院、井上病院、済生会前橋病院、桐生厚生総合病院、サンピエール病院、群馬県立心臓血管センターなどを経て、2024年4月に整形外科 ぐんまの森クリニックを開業。現在は院長を務める。日本整形外科学会 整形外科専門医。日本肩関節学会、日本整形外科スポーツ医学会会員。

なぜ足関節の捻挫は繰り返しやすいのか

なぜ足関節の捻挫は繰り返しやすいのか

編集部

足関節の捻挫は、なぜ再発しやすいのでしょうか?

濱野先生

足関節捻挫が再発しやすい理由は2つあります。1つは、リハビリが不十分なままスポーツを再開すること、もう1つは、固定が適切でなかったことです。特に、十分に回復していないまま再開すると捻挫を再発しやすくなるので、復帰する場合は、サポーターなどで足首を保護しながら段階的に戻るようにし、無理をしないことが大切です。

編集部

靱帯が治っていても、再発することはあるのですか?

濱野先生

あります。捻挫を繰り返す原因の一つに、もともとの足の形があります。例えば、重心が足にきちんと乗りにくい形だと足首に負担が集中し、わずかなひねりでも捻挫しやすくなります。さらに、靱帯が緩んでいると症状が強く出やすいため、必要に応じて治療用インソールで重心や足の使い方を整えることもあります。

編集部

一度捻挫した人は、ずっと再発しやすいのでしょうか?

濱野先生

一度捻挫した人は、していない人に比べて再発しやすい傾向があり、捻挫を繰り返すことで慢性足関節不安定症(CAI)に進行するリスクもあります。一方で、バランス訓練やスポーツ動作の再教育を行うことで再発予防が期待できることも示されています。つまり、「一度捻挫したら繰り返すもの」とあきらめるのではなく、原因に立ち返って予防する意識が大切なのです。

編集部

軽い捻挫でも、繰り返す原因になりますか?

濱野先生

軽い捻挫でも注意が必要です。痛みが軽いと自己判断で運動を再開しがちですが、保護と段階的なリハビリが不十分なままだと回復が追いつかず、足首のぐらつきが残ることがあります。その結果、治るまでに1〜2カ月以上かかったり、再び捻挫しやすくなったりするため、軽症でも適切な保護とリハビリを行うことが重要です。

再発リスクを抑えるリハビリとは? 期間は?

再発リスクを抑えるリハビリとは? 期間は?

編集部

再発リスクを抑えるために、何が重要ですか?

濱野先生

再発予防の柱になるのは、バランス訓練を中心としたリハビリと、スポーツ活動中のサポーターやテーピングによる保護です。その上で私が重視しているのが、足の形と重心のかかり方です。捻挫を2回以上繰り返している人の場合、足首だけでなく、足全体のバランスに問題がある可能性が高いため、治療用インソールを積極的に検討します。例えば、「外反母趾(がいはんぼし)の傾向がある」「小指が外側を向いている」「立ったときに足元が不安定に見える」といった場合はインソールをおすすめします。足の形に合わせて重心を整え、足首へ偏っている負担を減らすことで、再発リスクの軽減につながります。ただし、インソールだけで再発を防げるわけではないので、リハビリと組み合わせて使うことが前提になります。

編集部

リハビリでは、具体的にどのようなことを行うのでしょうか?

濱野先生

リハビリにはさまざまな種類があり、再発リスクを抑えるために重要なのが、運動器リハビリテーションです。中でも、可動域の回復、筋力トレーニング、バランス訓練は欠かせません。足首の動きを戻すだけでなく、片脚立ちや不安定な面での練習など、感覚と姿勢制御を鍛えることが再発予防につながります。また、捻挫を繰り返していると靱帯が緩くなり、足関節が不安定になりやすくなります。緩んだ靱帯そのものはリハビリで元に戻るわけではありませんが、足首の不安定さは靱帯の緩みだけで決まるものではなく、バランスをとる感覚や動作をコントロールする働きの低下も大きく関係しています。そのため、足首まわりの筋力と感覚(バランス機能)を鍛えることで、安定性を取り戻すことは十分に可能です。あわせて体幹や膝関節、股関節など、全身の筋肉を鍛えることも役立ちます。

編集部

可動域の回復、筋力トレーニング、バランス訓練以外にリハビリでやるべきことはありますか?

濱野先生

スポーツ動作の再教育も再発リスク低下に有効とされています。どのような動きが捻挫を誘発するのか理解し、正しいフォームや動き方を身に付けることが欠かせません。

編集部

リハビリは、どのくらいの期間続けるべきでしょうか?

濱野先生

続ける期間は、捻挫の状態によって異なります。痛みや腫れが強い急性期は、数日〜1週間程度、テーピングやサポーターで足首を保護し、炎症を落ち着かせます。ただし、この時期も完全に動かさないままにするのではなく、痛みの出ない範囲で早めに動かし始めることが大切です。固定したまま安静にし続けると、かえって足首の動きや安定性の回復が遅れることが分かっています。症状に応じて物理療法を併用しながら、保護と運動を並行して進めていきます。その後、初めての捻挫で不安定感が残らなければ、長期間のリハビリが不要なこともあります。
捻挫を繰り返している人は、少なくとも1カ月程度を目安に、筋力やバランス、体重のかけ方、着地動作などを見直すことが大切です。

編集部

スポーツ復帰の目安は、どう判断すればよいですか?

濱野先生

スポーツ復帰は本人の感覚が基本になりますが、それだけで判断すると復帰が早まりやすいため、体の状態も併せて確認します。プレー中に痛みが強く、100%の力を発揮できない状態での復帰はおすすめできません。一方、軽い痛みはあっても、パフォーマンスを保てている場合は、足首を保護しながら段階的に復帰できることもあります。痛みが運動後や夜間に感じられる程度に収まっていれば、復帰の目安になります。加えて、けがをしていない側と同じくらい片脚立ちを続けられるか、運動した翌日に腫れや痛みが残らないかも、確認しておきたい目安です。ただし、痛みが強くなる、腫れが再び出るといった変化があれば、運動量を見直しましょう。

配信元: Medical DOC

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