「膠原病の血液検査」では何を調べている?結果の見方についても解説!【医師監修】

「膠原病の血液検査」では何を調べている?結果の見方についても解説!【医師監修】

膠原病は、本来は細菌やウイルスなどの外敵から身体を守る免疫システムが、誤って自分自身の正常な組織を攻撃してしまう自己免疫疾患の総称です。皮膚や関節、血管、内臓など全身のさまざまな場所に炎症を起こす特徴があります。

この記事は、膠原病の血液検査で調べる項目や、自己抗体・炎症反応の結果の見方を解説します。

林 良典

監修医師:
林 良典(医師)

【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター

膠原病の血液検査で調べる主な項目

膠原病の血液検査で調べる主な項目

膠原病の血液検査ではどのような項目を調べますか?

膠原病が疑われる場合、血液検査は主に自己抗体の有無と炎症の程度を調べます。自己抗体とは、自分自身の細胞や組織に反応してしまう異常な抗体のことです。膠原病の種類によって出現しやすい自己抗体が異なるため、複数の項目を組み合わせて確認します。

また、炎症反応マーカーや免疫の働きに関わる補体の数値も重要です。さらに、病気の影響が全身の臓器に及んでいないかを確認するため、白血球や赤血球、血小板などの血液細胞の数、肝臓や腎臓の働きを示すAST、ALT、クレアチニンなども同時に調べ、身体の状態を把握します。

抗核抗体やリウマトイド因子とは何か教えてください

抗核抗体は、細胞の中心にある核の成分に対する自己抗体の総称です。さまざまな膠原病で陽性になりやすく、膠原病を疑ったときのスクリーニング検査として用いられます。結果は40倍、80倍、160倍といった希釈倍率で示され、数値が高いほど自己免疫の異常が疑われやすくなります。
一方、リウマトイド因子は、自分自身の免疫グロブリン(IgG)という抗体に反応してしまう自己抗体です。関節リウマチの患者さんの7〜8割程度で陽性となり、診断の手がかりになります。また、目やお口の強い乾燥を起こすシェーグレン症候群など、ほかの膠原病でも陽性を示すことがあります。

炎症の程度を調べる検査にはどのようなものがありますか?

炎症の程度を調べる検査には、CRP(C反応性蛋白)と赤血球沈降速度(赤沈、ESR)があります。CRPは、炎症や組織の障害が起きたときに血液中で増えるたんぱく質です。赤沈は、試験管内で赤血球が沈む速度を測る検査で、炎症が強いと沈む速度が速くなります。

関節リウマチや血管炎などは、病気の勢いに合わせてこれらの数値が上昇することがあります。一方で、全身性エリテマトーデス(SLE)や全身性強皮症など一部の膠原病は、活動期であっても、感染症などを合併していなければCRPがあまり上昇しないことがあります。

自己抗体の種類と結果の見方

自己抗体の種類と結果の見方

自己抗体の種類によって何がわかりますか?

自己抗体の種類は、どの膠原病が疑われるかや、起こりうる合併症の見通しを考える手がかりになります。膠原病には、それぞれの病気に特徴的に現れる疾患特異的自己抗体があり、診断を進めるうえで重要です。

例えば、全身性エリテマトーデスは抗dsDNA抗体や抗Sm抗体が特徴的です。特に抗dsDNA抗体は、病気の勢いや腎臓への障害であるループス腎炎と連動して数値が変動します。シェーグレン症候群は抗SS-A/Ro抗体や抗SS-B/La抗体、混合性結合組織病(MCTD)は、抗U1-RNP抗体、全身性強皮症は抗トポイソメラーゼⅠ抗体や抗セントロメア抗体などが検出されます。

抗体が陽性だと必ず膠原病なのですか?

自己抗体が陽性でも、必ず膠原病と診断されるわけではありません。抗核抗体やリウマトイド因子などは、加齢やウイルス感染症、慢性の肝臓病、甲状腺の病気など、膠原病以外の要因でも陽性になることがあります。また、健康な方でも、特に女性や高齢の方で、抗核抗体が40倍や80倍といった低い数値で陽性を示すことは珍しくありません。

血液検査だけで膠原病と診断できますか?

血液検査だけで膠原病を確定診断することはできません。血液検査は、体内で起きている免疫の異常や臓器の障害を数値として把握するために重要ですが、あくまで診断材料の一部です。

実際の診断は、患者さんが訴える朝のこわばり、関節の痛み、強い乾燥症状、寒冷刺激で指先が白くなるレイノー現象などを詳しく確認することから始まります。さらに、医師の診察による身体所見、関節の超音波検査やレントゲン・MRIなどの画像検査、尿検査などを組み合わせます。場合によっては、皮膚や腎臓などの組織を一部採取し、顕微鏡で調べる生検が必要になることもあります。

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。