2022年、トリプルネガティブ乳がん(ホルモン受容体とHER2タンパク質のいずれも陰性であるタイプの乳がん)と診断された夏目さん(仮称)。診断の直前には、夫の介護とみとり、母の他界を立て続けに経験していました。半年間の抗がん剤治療を経て手術を受け、術後の治療を終えて経過観察に入った1年半後、肺と脊椎(背骨)への転移が見つかり、ステージIVへ――。「何でも楽しむ」を合言葉に前向きな日々を送る夏目さんに、これまでの歩みについて聞きました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2025年11月取材。
体験者プロフィール:
夏目 由美子さん(仮称)
1963年生まれ、愛知県在住。2022年3月にトリプルネガティブ乳がんと診断され、抗がん剤治療と手術、放射線治療を受ける。現在は3カ月おきの検査を続けながら、植物や愛犬との時間を心の支えに前向きな日々を過ごしている。
度重なる試練の中で病気が判明
編集部
夏目さんが乳がんと診断された経緯を教えてもらえますか?
夏目さん
2020年5月、主人が肺がん(ステージIV)の治療を終え、自宅療養が始まりました。毎週、往診とリハビリテーションに加え、訪問看護(週2回)と訪問入浴(週2回)に来てもらいました。私は仕事をしながら介護を担い、疲労困憊(こんぱい)の日々。自宅療養から8カ月後に主人をみとり、そのわずか2週間後には、施設にお世話になっていた母が誤嚥(ごえん)性肺炎で入院し、1年後に他界しました。母の納骨を終え、ようやく一区切りついたと思った矢先でした。胸にチカチカとした痛みがあり、まさかと思いながらも病院を受診したところ、私自身の病気が発覚したんです。
編集部
診断の結果と、その後の治療の経緯について教えてください。
夏目さん
2022年3月にトリプルネガティブ乳がん(ステージI)の診断を受け、半年間にわたり抗がん剤治療を行いました。その後、同年10月に手術を受けたところ、リンパ節への転移が確認され、ステージIIとの診断でした。術後はさらに半年間抗がん剤の投与を受け、治療を終えてからは半年おきの定期検査を続けていました。しかし、1年半後の検査で肺と脊椎への転移が見つかり、最終的にステージIVと診断されました。
編集部
治療方針は、どのように決まったのでしょうか?
夏目さん
最初に受診した病院での治療方針は抗がん剤のみだったので、セカンドオピニオンも受けました。ただ、そちらでも方針は同じだったため、前の病院に戻り、抗がん剤治療と脊椎への放射線治療を行いました。
「何でも楽しむ」ポジティブな思考へと転換
編集部
発症後、生活にはどのような変化がありましたか?
夏目さん
再発後は白血球の値が低く、抗がん剤治療ができないことが頻繁にありました。そのため食生活を見直し、ケトジェニック(糖質を控え、脂質を主なエネルギー源にする食事法)やグルテンフリー(小麦などに含まれるグルテンを除いた食事法)を試すなど、体によいとされることを自分なりに取り入れています。また、ビワの葉を使った温灸(もぐさを直接皮膚に置かず、間接的に温熱を加える灸の一種)など、できることは何でも試しています(※)。精神面では、病気が分かった当初は大きく落ち込みましたが、そこにとどまっていても駄目だと考え、気持ちを切り替えました。病気と向き合いながらポジティブな思考へと転じ、日々の生活の中で「何でも楽しむ」ことを心がけています。
※記事内で紹介している食事法・民間療法は個人の体験に基づく感想であり、医学的な効果を保証するものではありません。実施については必ず主治医に相談してください
編集部
病気と向き合う上で、心の支えになっているものを教えてください。
夏目さん
愛犬と毎朝散歩をし、その様子をInstagramにアップしたり、一緒に旅行へ出かけたりすることですね。孫と遊びに行くことも、大きな心の支えです。
治療が落ち着いて少し心に余裕ができたので、友達を自宅に呼んでお茶をしながら多肉植物の寄せ植えをしたり、観葉植物の好きな友達に株分けをしたりして、植物に触れる時間も楽しんでいます。

