副作用との闘い、そして「生きることを絶対に諦めてはいけない」
ガンマナイフによる治療後
編集部
現在受けている治療の状況や、副作用はいかがでしょうか?
伊藤さん
脳転移や薬の影響なのか、投与を受けたその日から世界が一変したように平衡感覚が失われてしまいました。頭が常にフワフワとしていて、まるでパンストで引っ張り合いっこをされているかのような感覚です。手すりや歩行器を使わなければ歩けなくなってしまいました。また、投与前から制吐剤(吐き気止め)を使ってコントロールしているのですが、妊娠悪阻(にんしんおそ/重いつわり)のような遅発性の強い吐き気がやってきます。私の場合、投与後4〜6日目が症状のピークで、7日目から徐々に食欲が回復し、10日目くらいまでは全身のだるさが残ります。
それでも、動けるようになってからはリハビリテーションに通っており、調子がよいときは杖を使って歩ける日も増えてきました。脳転移があるため、3回目の投与を終えた段階で、造影剤を使った詳しい検査をする予定です。「もし薬の効果が見られなければ、別の薬への変更になる」と言われています。
編集部
医療従事者に望むことはありますか?
伊藤さん
何よりもまず、がん当事者の気持ちに寄り添ってほしいということです。がん治療に伴う副作用のせいで、患者さんはいくつもの専門診療科や異なる病院を受診せざるを得なくなります。全体を統括して診てくれる「総合診療科」がもっと普及してほしいと切に願っています。
編集部
もし、症状が出始めたころの自分に何か伝えられるとしたら、どんな言葉をかけますか?
伊藤さん
「完璧に何もかもこなさなくていいんだよ」と言ってあげたいですね。「自分1人ですべてを完結させようとせず、周りにもっと協力してもらいなさい」「頑張りすぎるのをやめなさい」とも伝えたいと思います。
それから、「がんの治療費はずっと続いて想像以上に高額になるから、ちゃんとしたがん保険に入りなさい。今入っている保険をすぐに見直しなさい」とお金の面でも現実的なアドバイスをしたいですね。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
伊藤さん
5年目を前に再発と転移を告げられ、感情のジェットコースターに乗っているような日々です。ネットには厳しい情報が多く落胆もしましたが、2024年にがん性リンパ管症と診断され、そこから脳転移までしている私が、こうして2年間しっかり延命できています。だからこそ「生きることを絶対に諦めてはいけない」と伝えたいですね。
死ぬかもしれないとおびえるほど、免疫は下がってしまうと感じています。生身の体には限界があるからこそ、しっかり睡眠をとって細胞を修復してあげてください。あとは、「自分は病気にならない」と過信せず、体のSOSを見逃さずに最初から専門病院にかかること。そしてがん保険などの備えや定期的な見直しも大切です。
正直、今の状況はドラマのようですが、「生きる!」という気力を持つことが病と闘う最大の力になると信じています。
編集後記
介護福祉士として正社員になった矢先、体の異変に気付き、確定診断まで8カ月を要した伊藤さん。肺や脳への転移が判明した今も、「生きることを絶対に諦めてはいけない」と語ります。伊藤さんの言葉にもあるように、体の異変を感じたら過信せず、早い段階から専門の医療機関を受診することが大切です。
本稿には特定の医薬品、医療機器についての記述がありますが、情報提供のみを目的としたものであり、医療上の助言や販売促進などを目的とするものではありません。
なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。
記事監修医師:
寺田 満雄(名古屋市立大学乳腺外科病院)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
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