要介護1になると、身の回りのことは多くを自分でこなせても、転倒や外出時の不安が目立ち始め、在宅だけでの支え方に限界が出てくることがあります。そのとき使える施設の種類や役割、費用、入所条件を解説します。

監修社会福祉士:
小田村 悠希(社会福祉士)
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。
要介護1で施設入所を検討するタイミング

要介護1だと、基本的な身の回りのことはこなせても、転倒や外出時の不安が生じることがあります。在宅サービスだけで支えにくくなったときに施設入所が検討される場面、在宅介護サービスとの違いを解説します。
要介護1の状態の目安
要介護1は、日常生活の多くを自分で行えるものの、一部の行為について介護を要する状態です。
心身の状態や生活環境などの情報をもとに、日常生活で介助を必要とする時間が一定水準に達した場合に、要介護1と判断されます。
こうした状態を前提に、介護保険サービスを利用して生活の維持や改善を図ることが想定される区分です。
施設入所が検討される場面
要介護1でも、居宅での生活が難しいと判断される場合には、施設入所が検討されることがあります。
例えば、単身で暮らしていて家族などの支えを得にくく、地域の介護サービスや生活支援だけだと日常生活の安全と安定を保ちにくいとみなされる場合です。
同居している家族も高齢、病気がちなどの理由から、十分な介護や見守りを続けることが難しい状況になったときも、居宅での生活を続けるか施設を利用するかが検討されます。
認知症などで日常生活に支障が出る症状や行動が頻繁にあり、在宅での対応で生活全体を維持しにくい場合には、施設入所を具体的に検討しましょう。
在宅介護サービスとの違い
在宅介護サービスは、訪問介護や通所介護などを組み合わせて、自宅での生活を続けることを前提としたサービスです。
利用者は居宅に住み続けながら、必要な時間帯だけ介護保険サービスを利用し、身の回りのことや生活の一部を支援してもらいます。
これに対して、施設サービスは、生活の場そのものを施設内に移し、入浴や排泄、食事などの日常生活の世話、機能訓練、療養上の世話を一体的に受ける形です。
在宅介護の場合自宅に住み続けることが前提となるのに対し、施設サービスは、常時介護を必要とし居宅での介護が困難な方が入所し、生活全般の支援を受ける点が大きな違いです。
要介護1で入所を検討できる施設の種類

要介護1でも、状況に応じて利用や入所を検討できる施設はいくつかあります。介護老人保健施設、認知症の方を対象とするグループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など主な種類を解説します。
介護老人保健施設
介護老人保健施設は、要介護者に対して、看護や医学的管理のもとでの介護、機能訓練、必要な医療、日常生活上の世話を行うことを目的とした施設です。
医療施設と福祉施設、家庭との間の中間的な位置づけの施設です。在宅復帰に向けたリハビリテーションや療養に必要な看護や介護を中心とした医療サービス、日常生活援助などを提供します。
利用には原則として65歳以上で要介護1以上の介護認定を受けていることが条件です。利用者は介護保険施設サービス費のほか、居住費や食費などを負担します。
特別養護老人ホームが長期の生活の場としての性格が強いのに対し、介護老人保健施設は一定期間の利用を前提に、心身機能の維持や改善と在宅復帰を主な目的とします。
認知症の方を対象とするグループホーム
認知症の方を対象とするグループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、少人数の共同生活の場で、家庭的な環境のなかで日常生活の介護や機能訓練を行う地域密着型のサービスです。
入浴や排泄、食事などの日常生活上の支援を受けながら、入居者それぞれが役割を担い、可能な範囲で自立した生活を続けることを目指します。
利用対象は、原則として要支援2または要介護1以上の認定を受けており、認知症があり少人数による共同生活が可能な人です。
住み慣れた市区町村内に設置されることが基本で、近隣の環境を保ったまま、認知症ケアの知識と技術を持つ職員による支援を受けられる点が特徴です。
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅
有料老人ホームは、高齢の方を入居させたうえで食事の提供、介護、家事、健康管理のいずれかのサービスを行う施設です。
入浴や排泄、食事の介護や食事提供、掃除や洗濯などの家事支援、健康管理を組み合わせて提供し、生活の場と介護と支援の機能を一体的に担います。
サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー構造を備えた賃貸などの住まいで、安否確認と生活相談を必須の見守りサービスとして提供します。
原則25平方m以上の専用部分と、台所や水洗便所、浴室などを備え、高齢の方が単身または夫婦で居住しながら、必要に応じて介護保険サービス事業者を選んで在宅サービスを利用できます。
参照:『サービス付き高齢者向け住宅について』(厚生労働省)

