要介護1では入りにくい施設と入所できるケース

要介護1だと介護が常に必要な方を想定した施設に申し込みづらい場合があります。
前提となる入所の考え方と、例外的に入れることがある状況、申し込む前にみておきたい条件のポイントをまとめます。
特別養護老人ホームの原則と特例
特別養護老人ホームは、重度の要介護状態で自宅での生活が難しい高齢の方を長期に受け入れることを目的とした公的施設です。介護保険制度改正により新規入所者は原則として要介護3以上に限定されています。
一方で、要介護1や2であっても、特別養護老人ホーム以外での生活が著しく困難と自治体が判断したときには特例入所として受け入れが認められることがあります。認知症や精神障害などにより日常生活に著しい支障があり在宅生活が困難な場合、深刻な虐待の疑いがある場合、単身や病弱な家族しかおらず地域サービスも不足している場合などです。
特例が認められる可能性があるケース
要介護1や2でも、在宅で安全に暮らすことが難しい事情が重なっている場合には、特別養護老人ホームへの特例入所が検討されます。
具体的には、認知症や知的障害、精神障害などがあり、徘徊や暴言、暴力、強い不安や混乱などの症状が頻繁に起きて日常生活に大きな支障が出ているケースが典型です。
深刻な虐待が疑われ、家にいること自体が心身の危険につながる場合や、単身世帯で支える家族がいない場合も対象です。
同居家族も高齢や病弱で介護が事実上不可能なうえ、地域の介護サービスや生活支援が十分に利用できない場合も対象になりえます。
このように特別養護老人ホーム以外での生活が著しく困難と判断されるケースだと施設の入所検討委員会と市町村の関与のもと、要介護1や2でも例外的に入所が認められる可能性があります。
施設ごとの入所条件の確認
特別養護老人ホームは、公的介護保険の施設サービスの一つで、原則として要介護3以上と認定され、常に介護が必要で在宅で介護が困難な方を対象としています。
介護老人保健施設は、要介護1以上で病状が安定し、看護や医学的管理のもとで介護やリハビリを受けて在宅復帰を目指す方が主な入所対象です。
介護医療院は、要介護1以上で慢性疾患などにより長期療養と生活の場が同時に必要な方を想定しており、医療と介護を一体的に提供します。
介護老人保健施設と介護医療院はいずれも要介護1以上が前提ですが、特別養護老人ホームのみ原則要介護3以上と厳しめの入所要件があります。したがって、要介護1の場合は介護老人保健施設や介護医療院、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などが現実的な選択肢になりやすいでしょう。
要介護1の施設入所にかかる費用

要介護1で施設入所を考えるときは、月々どれくらい費用がかかり、何にお金がかかるのか、そして負担を軽くする公的制度をどう使えるかを知っておきましょう。
施設の種類ごとの費用の違い
要介護1で介護保険施設に入所したときの費用は、介護サービス費だけをみる場合と、居住費や食費を含めた総額でみる場合とで印象が変わります。また、自治体により費用が変わるため、以下は目安です。
ある自治体の場合、要介護1、多床室、補足給付なしの一般的な所得層だと、自己負担の総額の目安は特別養護老人ホームが2,949円/日、介護老人保健施設が2,675円/日、介護医療院が2,715円/日です。
参照:
『介護保険サービスの種類と費用(施設サービス)』(高森町)
『基準費用額』(厚生労働省)
施設費用の主な内訳
介護保険施設の費用は、介護サービス費、居住費、食費、日常生活費の合計で決まります。これは地域により異なるため目安です。
介護サービス費は、要介護度と施設種類に応じた介護報酬のうち、利用者が1〜3割を負担する部分です。要介護1、多床室、自己負担1割の場合、日額の目安は特別養護老人ホームで589円、介護老人保健施設で793円、介護医療院で833円程度です。
居住費は室料と光熱水費にあたる費用で、多床室の場合特別養護老人ホームが日額915円、介護老人保健施設と介護医療院が437円程度です。
食費は食材費と調理費を合わせたもので、基準費用額の目安は日額1445円前後です。
これらを合計すると、多床室で補足給付なしの場合の一日あたりの自己負担の目安総額は、特別養護老人ホームで2949円、介護老人保健施設で2675円、介護医療院で2715円程度となり、このほかに洗濯費、日用品、レクリエーション費、理美容代などの日常生活費が施設ごとに上乗せされます。
参照:
『介護保険サービスの種類と費用(施設サービス)』(高森町)
『基準費用額』(厚生労働省)
費用の負担を抑える制度
介護サービス費を抑えるために、高額介護サービス費という制度があります。これは1ヶ月に支払った介護サービスの自己負担額の合計が所得区分ごとの上限額(通常世帯で月37,200円など)を超えた場合、超えた分が申請により払い戻される制度です。
一方、施設の食費や居住費を抑えるためには、特定入所者介護サービス費(補足給付)が使われます。これは、介護保険施設に入所した方のうち、世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金収入と合計所得が一定以下、かつ預貯金などの資産が基準を満たす場合に適用される制度です。標準的な費用(基準費用額)と所得段階ごとに定められた負担限度額との差額を、介護保険から特定入所者介護サービス費として支給します。
参照:『高額介護(居宅支援)サービス費(介護保険法51、61)』(国税庁)

