今まで年齢を重ねても元気に1人暮らしをしていた人から、急に「動けなくなった」と連絡がきてビックリしました。事の始まりは、時が止まっているかのように毎年変わらない日常を過ごしていた祖母からの緊急電話でした。
「痛くて動けない。救急車呼んで!」
卒寿を迎えても元気で1人暮らしをしていた祖母は、15年前に脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう:背骨の中にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなり、神経が圧迫される病気)と診断され歩行の面では多少不自由さを抱えていました。ですが、ありがたいことに内科的には大きな異常もなく、通院は定期的な骨粗しょう症(こつそしょうしょう:骨の量や質が低下して骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気)の注射と経過観察のみで済んでいました。
近所に住んでいる孫の私の仕事が休みの日を狙って通院の計画を立てたり、地域包括支援センターの高齢者支援制度を活用して買い物支援やデイサービスに通ったり。ここ数年はまったく同じような日々を過ごしているので、祖母の周りは時が止まっているように感じていました。
事態が動き出したのはある日の早朝、私の自宅にかかってきた祖母からのSOSの電話でした。目が覚めてトイレに行こうと起きたら動けなくなったので、「救急車を呼んでくれ」と言うのです。今までも起床後すぐめまいを起こしたり、足がふわふわしたりして動けないという呼び出しは数多くありましたが、祖母自身の口で「救急車を呼んでほしい」と言うことはありませんでした。
診断名「いつのまにか骨折」
私が病院に駆けつけると、痛み止めの点滴をぶら下げてベッドに顔面蒼白で寝ている祖母がいました。腰が痛くて体を動かすことができず、その場で緊急入院が決まりました。
翌日のX線検査やCT検査の結果、脊柱管狭窄症ですでに圧迫されていた背骨の他に、2カ所の骨折が見つかりました。ですが、祖母には最近転んだことも、重いものを持つなど腰に負担がかかるような動きをした記憶もないと言います。
医師からは、「いつできたのかわからないけれど骨折していた『いつのまにか骨折』が原因だろう」と説明されました。事故や転倒などの明らかな外的要因がなくても、加齢や骨密度の低下によって、特に脊椎(背骨)で本人の気付かないうちに骨折する状態を指します。年齢により自然に背骨が曲がり、椅子に深く座る動作を日々繰り返すことでも背骨は圧迫され続け、それが今回神経に触れて急激に痛み出したとのことでした。

