「不倫相手だった」まで公表する必要あった?ラブホテルから「バスローブ会見」の秋田県職員が停職6カ月に

「不倫相手だった」まで公表する必要あった?ラブホテルから「バスローブ会見」の秋田県職員が停職6カ月に

●停職6カ月に「やや重い印象」

──刑事事件で有罪が確定したような事情がないため、ネット上では「停職6カ月は重すぎる」といった声もあります。今回の処分をどう評価しますか。

懲戒処分は刑事責任とは別の制度であり、刑事事件で有罪になっていないことが、懲戒処分の重さを判断する直接の基準になるわけではありません。

懲戒処分の相当性は、各自治体が定める懲戒処分の指針(基準)に照らして判断されるべきものです。

報道によると、県は休暇自体について事後申請により適正だったと説明しており、職務専念義務違反や休暇の不正取得が問題になったケースではありません。

多くの自治体が準拠する人事院の懲戒処分の指針(*注)に照らしても、虚偽報告は本来「減給又は戒告」の水準にとどまります。

(*注)本件では秋田県が定めた懲戒処分の指針(基準)によることになります。同指針がネット上で公表されていないので把握ができませんが、人事院の指針に準拠しているものと考えられます。

もっとも、AIデータセンター建設計画という県の重要施策に関する対外説明という公務の場に、ラブホテルからバスローブ姿で喫煙しながら出席したこと自体は、地方公務員法33条が定める信用失墜行為として、公務員としての品位・信用を損なう振る舞いと評価されます。

これは不貞関係の有無とは別に、それ自体が独立した考慮要素として、処分を加重し得る事情になります。

また、企業誘致推進監(課長級)として当該施策の責任者的な立場にあったことも、加重事由となり得ます。

こうした事情を踏まえ、指針上「減給又は戒告」水準の非違行為を加重して「停職」とすること自体は考えられます。

ただ、多くの自治体で条例上、停職の上限とされる6カ月とし(秋田県の条例では上限は1年)、さらに2段階の降格まで併せておこなった点については、私見では量定としてやや重いとの印象を持ちます。

報道されていない事情がある可能性もあるため、県側が、なぜそこまで処分を加重したのか、具体的に説明できるかがポイントになると思われます。

●「SNSの反応の大きさ」を処分理由にしていい?

──今回の処分には、SNSで騒ぎが大きくなったことも影響したのではないかという見方もあります。懲戒処分を判断する際、ネット上の反応を考慮することは適切なのでしょうか。

処分は非違行為の重さに見合ったものでなければならないという比例原則がある以上、SNSでの反応の大きさそのものを処分理由とすることは適切ではありません。

ただし、住民の信頼がどれだけ損なわれたかという結果の重大性の一要素として、考慮される余地はあります。

【取材協力弁護士】
谷 真介(たに・しんすけ)弁護士
2007年弁護士登録(大阪弁護士会)。大阪弁護士会労働問題特別委員会委員、日本労働弁護団全国常任幹事。労働事件、アスベスト被害事件を多数担当。その他、内閣官房機密費情報公開訴訟弁護団。
事務所名:北大阪総合法律事務所
事務所URL:http://www.kitaosaka-law.gr.jp/

提供元

プロフィール画像

弁護士ドットコム

「専門家を、もっと身近に」を掲げる弁護士ドットコムのニュースメディア。時事的な問題の報道のほか、男女トラブル、離婚、仕事、暮らしのトラブルについてわかりやすい弁護士による解説を掲載しています。