俳優の仲野太賀が主人公の豊臣秀長を演じるNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合ほか)の第33回が30日に放送される。第32回は、織田信長(小栗旬)の死後から続いてきた秀吉(池松壮亮)と柴田勝家(山口馬木也)の対立が、前田利家(大東俊介)の離反を決定打として大きく動き、勝家を北庄城へと追い詰めた。第33回では、秀吉が天下人への道をさらに進める一方、勝家と市(宮﨑あおい)の最期、そして戦を終えた秀長が出会う一人の茶人を通して、新たな時代へ向かう物語が描かれる。
大河「豊臣兄弟!」第33回「北庄城の別れ」(8月30日放送予定)あらすじ
羽柴軍の圧倒的な兵力の前に勝家は敗走、市の待つ北庄城に籠城する。降伏を促すべきと言う小一郎(仲野)に、秀吉は勝家が降伏するなどありえないと一刀両断。利家に先鋒を命じる。羽柴軍が北庄城を取り囲むなか、市は茶々(井上和)ら三姉妹を投降させ、自らは勝家と果てる覚悟を決める。
苦い戦ののち、大徳寺にこもっていた小一郎は、一人の茶人に出会う。
大河「豊臣兄弟!」第32回(8月23日放送)【振り返り】
第32回では、信長の死後に激化した秀吉と勝家の対立が、ついに武力衝突へと発展。雪に閉ざされた冬の間に勝家方と信孝(結木滉星)を追い詰めた秀吉は、翌春、北近江で勝家軍と対峙。戦況が大きく揺れ動くなか、勝家の重臣で、秀吉とも深い関係を持つ利家が重大な決断を下す。信長が築いた織田家を守ろうとする勝家と、自らが天下人となって新たな時代をつくろうとする秀吉。その間で揺れ続けた利家の選択が、秀吉と勝家の勢力争いの行方を左右する重要な回となった。
【以下、ネタバレ】
天正10(1582)年12月。信雄(山脇辰哉)を擁した秀吉は、北陸の雪に道を閉ざされた勝家が信孝へ援軍を送れないのを見越し、清須会議の後、勝家の領地となっていた長浜を奪還。岐阜の信孝を攻撃した。追い詰められた信孝は、三法師(清水伊織)を秀吉へ引き渡して降伏した。
山崎城に戻った秀吉は、当面、自分のもとで三法師を保護することにしたが、小一郎は信孝がこのまま黙っていないだろうと危惧。黒田官兵衛(倉悠貴)は、信孝が雪解けを待ち、春になれば勝家の支援を得て再び動き出すと予想した。
越前の北庄城では、市が、敵も攻めては来られない冬のうちに支度を整え、雪解けとともに攻めかかるよう勝家に進言していた。そんななか、勝家の与力で能登・七尾城の城主である利家を、秀吉が秘密裏に訪ねる。驚く利家に、秀吉は、利家の娘・豪姫(福地美晴)を養女に授けてもらった恩があることや、寧々(浜辺美波)と利家の妻・まつ(菅井友香)を敵同士の妻にしたくないという思いを語った。そして、利家が羽柴方につけば、勝家が戦を諦め、勢力争いを穏便に終わらせられるはずだと説得。自身が天下人となり、勝家にはできない新しい世をつくるという秀吉に、利家は激怒し、部屋から追い出した。
茶々は自らを羽柴方へ人質として差し出すよう、母・市に持ちかけていた。秀吉が油断した隙をついて首を取ってくると豪語する愛娘の言葉に、市は、かつて自身が兄・信長に、今川義元(大鶴義丹)の人質になると申し出た時のことを思い出す。母の役に立ちたいという茶々に、つらい目に遭わせていることを詫びた市は、「そなたらのことは母が必ずや守る」と約束。怖くないのかと問われると、怖いが、それ以上に生まれて初めて自身で選んだ道を進んでいる喜びを明かし、「そなたにもいつか、こういう日が来ることを願っておる」と語りかけた。
その頃、勝家は北庄城に家臣らを集めて宴を開き、秀吉討伐を宣言。利家は勝家と腕相撲を行い、接戦の末に勝利を収めた。褒美の希望を尋ねられた利家は、「それでは…殿! 天下人となってくだされ! 天下人となって新しき世をつくってくださりませ! わしはその手伝いがしとうございます!」と真剣に訴えた。想定外の言葉に勝家は一瞬戸惑うも、「このたわけが! そのようなことをわしが望むとでも思っておるのか! 上様のつくられた織田家をお守りし、いずれ三法師様を天下人にする。それこそがわしの務めじゃ!」と一喝。利家は頭を深く下げて謝罪すると、頭を冷やしてくると言って宴席を離れた。
同11年3月。勝家が2万の軍勢で出陣し、北近江の柳ケ瀬に陣を構えると、秀吉も軍を差し向けて北近江で対峙した。小一郎は守りの要である田上山砦に入った。小一郎が懸念したとおり、信孝が再び岐阜で挙兵したとの報せが届き、秀吉は岐阜へ急行するが、ほどなくして前線の大岩山砦を守る中川清秀(すがおゆうじ)が寝返り、砦が陥落する。柴田方の先鋒・佐久間盛政(遠藤雄弥)の攻撃は続き、岩崎山砦も落ちた。
前線の砦を失った小一郎の軍は、田上山砦で必死に応戦。利家は、勝家から盛政の救援に向かうよう命じる伝令を受けた。すると雪が降り始め、まつの「雪はこの北国に平穏をもたらしまする。いっそこの日の本中にずっと雪が降ればいいのに」という言葉や、秀吉の「天下人」宣言が脳裏をよぎり、救援を思いとどまる。
佐久間軍に押され、陥落寸前の小一郎たちの前に、大岩山と岩崎山陥落の急報を聞いた秀吉の軍勢が驚異的な速さで引き返し、猛反撃を開始。勝家の兵を次々と退け、形勢は一気に逆転した。
佐久間軍の敗走の報せを聞いた勝家の前に、利家が現れ、降伏して出家するよう進言。勝家は刀を抜いて斬りかかった。激闘の末、勝家が利家の槍を落とすと、「うぬのような弱きものを斬っても寝覚めが悪うなるだけじゃ。二度とその面をわしに見せるな!」と言い放ち、刀を収めた。利家は「わしは! 親父殿に、上様の後を継いでほしかった!」と思いをぶつける。しかし、勝家の答えは「その願いは…別の者と果たせ」。利家は無念の涙を流すと覚悟を決め、秀吉のもとへ出向いた。
「約束しろ! 天下人になるなら、この日の本中にずっと雪を降らせろ! 約束しろ!」
利家に迫られた秀吉が「わかった。約束する!」と応じると、利家は深く一礼。秀吉も深く頭を下げて礼に答えた。

