肝臓の数値をよくするために今日からできること
編集部
肝臓の数値が高めだった場合、まず何から始めればよいでしょうか?
宮竹先生
まず見直したいのは飲酒量です。お酒を飲む習慣がある人は、量を減らす、休肝日を作る、できれば一度しっかり禁酒して数値の変化を見ることが大切です。肝臓はアルコールの影響を受けやすく、飲酒を見直すだけで改善するケースもあります。また、健康診断の結果を時系列で並べ、過去と比べて上がっているのか、ずっと高いのかを確認することも重要です。数値の流れを見ることで、受診の必要性を判断しやすくなるでしょう。
編集部
食事や体重管理では、どのような点に気を付けるとよいのでしょうか?
宮竹先生
特に、脂肪肝が疑われる場合は、体重を適正に保つことが改善の基本になります。清涼飲料水などの甘い飲み物や夜遅い食事、食べすぎ、間食の多さはぜひ見直したいポイント。極端な食事制限ではなく、続けられる形で体重を少しずつ整えていくほうが現実的です。脂肪肝の場合、3カ月かけて現在の体重の3〜5%を減らすことを具体的な目標にしてみましょう。健康診断でASTやALTが軽く高い人でも、体重減少と運動で改善することは少なくありません。これを機に正しい食生活を意識してみてはいかがでしょうか。
編集部
運動も、肝臓の数値改善に役立つのでしょうか?
宮竹先生
はい、役立ちます。特に、脂肪肝では運動によって肝臓内の脂肪が減り、肝臓への負担が軽くなることが期待できます。激しい運動を急に始める必要はありません。まずは歩く時間を増やす、歩くときは意識してやや速めに歩く、なるべく階段を使う、デスクワークが多い場合は座りっぱなしを減らすなど、日常の活動量を少しずつ上げることからで十分です。スクワットなどの筋力トレーニングも効果があります。体重が大きく変わらなくても、運動習慣がつくことで肝機能が改善することもあります。日常生活に無理なく落とし込める運動を続けましょう。
編集部
異常値が出たら、念のため受診することが大切ですね。
宮竹先生
はい。「お酒のせいだろう」「脂肪肝だから大丈夫だろう」と決めつけず、一度は医療機関で相談することをおすすめします。特に、数値異常が続く場合や急に悪化した場合、血小板やアルブミン、ビリルビンにも変化がある場合は、早めに受診してください。また、B型・C型肝炎ウイルス検査を受けていない人は、必要に応じて確認しておくと安心です。肝臓の数値は、将来の肝硬変や肝がんのリスクを早めに見つける助けにもなります。血液検査の結果表に異常を知らせるマークがついたら、念のため受診するようにしましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
宮竹先生
肝臓はとても我慢強い臓器です。私たちの体を支えるために、日々黙々と働き続けています。肝臓の果たす役割があまりにも多いため、いまだに人工肝臓を作ることはできていません。血液検査の異常値は、そんな肝臓からの静かなSOSと考えてください。特に、脂肪肝は生活習慣病との関係が深く、糖尿病や高血圧のきっかけにもなります。「肝機能異常」は疾患の早期発見につながります。健康診断や人間ドックの結果を踏まえて医療機関を受診し、食事や運動など生活習慣を具体的に見直すことは、肝臓の状態を改善し、生活習慣病を未然に防ぐことにもつながります。健康診断や人間ドックで肝機能異常を指摘された場合は、自分の健康や身の回りの人たちのためにも、なるべく早く医療機関に相談することをおすすめします。
編集部まとめ
肝臓の数値は、ASTやALTだけでなく、γ-GTPやALP、ビリルビン、アルブミン、血小板などを組み合わせて読むことで、今の炎症だけでなく肝臓の働きや状態まで見えてきます。数値の高さだけで判断せず、過去の結果と並べて変化を追うことが大切です。肝臓は自覚症状が出にくい臓器のため、飲酒量や食事、体重、運動習慣を見直しながら、異常を指摘されたときは早めに医療機関へ相談しましょう。

