「強迫性障害は母親が原因」と言われやすい背景とは?なりやすい人の特徴も解説!

「強迫性障害は母親が原因」と言われやすい背景とは?なりやすい人の特徴も解説!

強迫性障害は母親が原因といわれることがありますが、実際には母親の影響が強いとの科学的根拠はありません。一方で、母親が原因と思われることには理由があります。
本記事では、母親が原因といわれやすい背景、発症のメカニズム、家族との付き合い方を解説します。

前田 佳宏

監修医師:
前田 佳宏(医師)

・和クリニック 院長
・精神科/心療内科医
・精神保健指定医
「泣きたくなったら壁を押せ」著者
大人と子どもの双方で、トラウマや愛着障害に心理療法的アプローチを用いる医師。これまでのべ3,000人以上の臨床に携わる。
島根大学医学部卒業。その後、東京大学医学部附属病院精神神経科に入局、東京警察病院や国立精神神経医療研究センター等を経て、児童精神科外来を3年間、トラウマ専門外来を2年間担当。著書『泣きたくなったら壁を押せ』(サンマーク出版、2026年)では、心理療法のプロセスを物語として描き、私たちの感情の奥にある“適応の物語”をたどった。その視点をともに探る場として、オンラインコミュニティ「しなここメイト」を主宰。cotree顧問医。産業医。日本小児精神神経学会所属。

強迫性障害|母親が原因といわれやすい背景

強迫性障害|母親が原因といわれやすい背景

強迫性障害は母親や父親の育て方が原因で発症する病気ですか?

強迫性障害は、母親や父親の育て方が原因で発症する病気ではありません。
幼少期の家庭環境や親子関係が子どもの不安の感じ方や物事へのこだわり方に影響を与えるとの考え方もあります。しかし、強迫性障害は単一の要因で起きるものではなく、遺伝的な体質、脳の働きの特徴、ストレス体験、社会環境など、複数の要素が重なって発症すると考えられています。

親が強迫性障害の場合は子どもも強迫性障害を発症しやすいですか?

強迫性障害には一定の遺伝的要素が関係している可能性があるといわれています。ただし、発症を決定づけるものではありません。
実際には、体質的な傾向に加えて、ストレスの強さや生活環境、周囲からのサポートの有無など、さまざまな要素が重なって発症に影響するとされています。
参照:『親の期待認知が高校生の強迫傾向に及ぼす影響』(jstage)

なぜ強迫性障害が母親が原因といわれるのでしょうか?

「母親が原因」といわれる理由は、幼少期に母親が子どもと密接に関わる存在であるためと考えられます。
子どもの不安への向き合い方や安心を得る手段は、幼少期の養育環境のなかで形成されます。そのため、過干渉、過保護、過度な清潔志向、強い完璧主義などがあった場合に、母親の子どもへの影響が注目されやすくなります。
強迫性障害の原因は母親にあるとの考え方は、有力ではないとされています。
大切なのは、誰かを責めることではなく、症状の仕組みを正しく理解し、適切な治療や支援につなげることです。強迫性障害は適切な治療によって改善が期待できる疾患です。

強迫性障害になるメカニズムと原因

強迫性障害になるメカニズムと原因

強迫性障害の発症に関わる要因やきっかけを教えてください

強迫性障害は、1つの原因で発症する病気ではありません。
体質的な不安の感じやすさ、脳の働きの特徴、幼少期の体験、強いストレスなどが複雑に関与していると考えられています。発症のきっかけには、受験や就職、出産、人間関係のトラブル、身近な人の病気や事故などがあります。
また、感染症の後に症状が現れるケースがありますが、ごく少数の例です。
参照:『強迫性障害(Obsessive-compulsive Disorder;OCD)の多様性と分類システムの検討――その変遷と現況、そして問題点――』(精神神経学雑誌)

なぜ強迫性障害になるのですか?

強迫性障害では、不安や違和感に対する脳の反応が過敏になっていると考えられています。
本来であれば気に留めなくてよい小さな疑問や不安を、脳が過剰に重大な問題としてとらえてしまいます。結果、「確認しなければ危険だ」「きちんとしなければ大変なことになる」などの思考が生まれます。
一度確認や儀式的な行為を行うと一時的に不安が軽減します。この不安が下がる体験が繰り返されることで、行為が習慣化し、やめにくくなっていきます。

強迫性障害になりやすい人の特徴を教えてください

強迫性障害になりやすい傾向として、次のような性格特性が挙げられることがあります。

責任感が強い

真面目で几帳面

完璧を求めやすい

失敗を強く恐れる

不確実さに弱い

上記の特性は、社会生活で長所となる面もあります。しかし、強いストレスが加わると、「きちんとしなければならない」という思いが過度に働き、不安を強めてしまうことがあります。
ただし、性格以外にもさまざまな要因があるため、強迫性障害になりやすい人の特徴に当てはまらない場合でも発症する可能性があります。

強迫性障害の人の脳内ではどのようなことが起きているのですか?

強迫性障害は、「確認を何度もしてしまう」「不安な考えが頭から離れない」などの症状が特徴ですが、単なる性格の問題ではなく、脳の働きが関係していると考えられています。
脳内では、神経伝達物質のセロトニンが気分や思考の切り替え、睡眠などに関わっています。強迫性障害の治療にセロトニンの働きを高める薬(SSRI)が使われていることからも、セロトニン系の関与が示唆されています。
ただし、セロトニンと強迫性障害の関係は、まだ完全に解明されているわけではありません。
参照:『強迫性障害』(国立精神・神経医療研究センター)

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。