手術を受けないと、どんなリスクがある?
編集部
白内障を手術せずにいると、どんなリスクがありますか?
芳賀先生
白内障は多くの場合、少しずつ進行します。放置すると視界のかすみが強くなり、まぶしさや夜間の見えにくさも悪化しやすくなります。その結果、読書や外出、運転などが難しくなり、生活の質が下がることがあります。すぐに命に関わる病気ではありませんが、日常生活への影響は次第に大きくなっていきます。
編集部
QOL(生活の質)に大きく影響するのですね。
芳賀先生
はい。ほかにも、白内障は認知症とも関連が指摘されています。白内障を放置して視力が低下した人では、認知症のリスクが高まることが複数の研究で報告されています。 その背景には、白内障によって感覚刺激が低下することがあると考えられています。
編集部
白内障は、事故などのリスクも上昇させてしまいますよね。
芳賀先生
そのとおりです。見えにくさが進むと、段差や障害物に気付きにくくなり、転倒リスクが高まります。また、白内障は夜間視力やまぶしさにも影響するため、運転時の安全性にも関わります。見え方の低下を自覚しにくいまま運転していると、交通事故の危険が高まることもあります。
見えにくさが思わぬ事故につながる可能性はゼロではありません。
編集部
手術を先延ばしにすると、不利になることはありますか?
芳賀先生
多くの場合、手術を少し先延ばしにしたからといって、最終的な結果に大きく差が出るわけではありません。しかし、見えにくい期間が長く続けば、その分だけ生活の不便や危険も増えます。また先ほど伝えたように、白内障がかなり進んでしまうと、日常生活への支障が大きくなり、ほかの目の病気を診断する際にも影響する可能性があります。必要以上に我慢せず、まずは医師と相談することをおすすめします。
編集部
白内障に気が付いた際は、早めに手術を受けたほうがよいのでしょうか?
芳賀先生
あまりに早い段階で急いで受けることは、必ずしもおすすめできません。なぜなら、水晶体を眼内レンズに置き換えると、もともと目が持っていたピント調節の機能が失われるからです。そのため、術後に老眼鏡が必要になることがあります。また、多焦点眼内レンズを選んだ場合には、光の周りに輪が見えるハロー、強いまぶしさを感じるグレアが気になる人もいます。だからこそ、手術は「白内障があるからすぐ行う」のではなく、見えにくさが日常生活にどの程度影響しているかを踏まえて、適切な時期を見極めることが大切です。
編集部
若くして白内障になることもあるのですか?
芳賀先生
白内障は加齢によるものと思われがちですが、若い世代でも起こることがあります。例えば、過去に目を打った、ボールが当たった、けんかで殴られたといった外傷がきっかけとなり、時間がたってから片目だけ見えにくくなるケースがあります。また、アトピー性皮膚炎のある人は、早い時期に白内障が進むことがあります。
年齢だけで判断せず、「片目だけ見えにくい」「急にかすむ」といった変化があれば、一度眼科で確認することが大切です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
芳賀先生
患者さんから「視力がいくつになったら白内障の手術を受けたほうがよいのですか?」という質問を受けます。タイミングは人それぞれです。運転が必要な人と主に自宅で過ごす人とでは求められる視力が違い、不便を感じる程度も変わります。視力の数字だけで手術のタイミングを決めるのではなく、見えにくさによって生活の質が下がってきたときは、まず眼科で相談することが大切です。
「白内障かな?」と思ったら、ぜひ一度診察を受け、手術が必要かどうかを医師に判断してもらってほしいと思います。
編集部まとめ
白内障手術のタイミングを考える上で大切なのは、視力の数字だけでなく、見えにくさが自分の生活にどれだけ影響しているかです。不安がある場合は、まず眼科で相談してみてはいかがでしょうか?

