内容への受け止めは?
編集部
金沢大学の研究員らが発表した内容への受け止めを教えてください。
前島先生
今回の研究は、早期発見が難しい膵臓がんに対して、血液中の遺伝子発現を調べることで、ごく早期の段階から異常を捉えられる可能性を示した点で非常に興味深い成果です。特に、今回解析されたStage 0~Iの膵臓がん10例中9例で陽性となったことは、今後の検査法開発につながる重要な一歩だと思います。一方、「90%を検出」という数字だけが独り歩きしないよう注意が必要です。今回の膵臓がん患者は10例と非常に少なく、90%という感度の精度にはまだ大きな幅があります。また、膵臓がんのない健常者でも約30%が陽性となっており、現時点で一般の人を対象としたスクリーニング検査(ふるい分けの検査)として使用できる段階ではありません。
さらに、実際の診療では慢性膵炎や膵嚢胞(すいのうほう)など、膵臓がんとの鑑別(原因となる病気を見分けること)が必要な病気があります。今後こうした患者さんを含む、より大規模な多施設研究で有用性が確認されれば、画像検査につなげるための「早期発見の入口」として非常に期待できる検査になる可能性があります。
編集部まとめ
膵臓がんは早期発見できれば予後の改善が期待できる一方、自覚症状が乏しく発見が遅れやすいがんです。今回の研究は、血液検査による早期発見の新たな可能性を示すものです。日頃から体調の変化を意識しておきましょう。腹痛や背中の痛み、黄疸、原因のはっきりしない体重減少などが続く場合や、糖尿病を新たに発症した、あるいは急に悪化した場合には、早めに医療機関へ相談してください。
- 早期発見が命運を左右…膵臓がん『5つの初期症状』と「発症リスクを自分で減らす日常生活のヒント」
──────────── - 早期とされる『膵臓がんI期』でも5年生存率は「42%」 早めの発見が重要なワケを医師が解説
──────────── - 「心配ない」と言われた小さな膵嚢胞、大きくなって『膵臓がん』になることも… 医師が解説
────────────

