洗濯表示の意味をわかりやすく解説!マスターすれば失敗知らず

洗濯表示の意味をわかりやすく解説!マスターすれば失敗知らず

洋服のタグなどに記載されている洗濯表示(マーク)は、洗濯の時はもちろん、洋服を買う時などいろいろな場面で活用できます。今回は、家事のアドバイザーとして各方面で活躍中の藤原千秋さんに活用ポイントをお伺いしたので、ぜひ参考にしてくださいね。

新しくなった洗濯表示(マーク)を攻略しよう!

むかし、授業でならって必死に覚えた洗濯表示(マーク)。実は新しくなっているのを知っていましたか?まずは、どんな洗濯表示(マーク)があるのか見てみましょう。

洗濯表示(マーク)はなぜ日本語ではない?

写真提供/トルコアクセサリーのエルマ・ドマテス(on Instagram)

【参照URL】トルコアクセサリーのエルマ・ドマテス(on Instagram)

上の画像は私たちが日ごろ目にする洋服のタグですね。このタグの下段の絵で「手洗い」「ドライ」「ヨワク」など日本語が書いてある洗濯表示(マーク)は、少し前まで使われていたものです。実は、平成28年12月から新しい洗濯表示(マーク)になり、日本でも上の画像の上段にある記号のみの表示に変わったんですよ。

日本の洗濯表示(マーク)は、これまで日本独自のJIS規格に基づいていたのですが、そのJIS規格を国際基準であるISO規格に合わせたための変化なんです。

衣類は海外からの輸入品がたくさん売られていますし、日本の衣類メーカーも海外にたくさん出店しています。このため、日本だけ独自規格の洗濯表示(マーク)を付けていると、タグの付け替えなど余計な作業が増えてしまうんですね。これを国際規格に統一することで、衣類の国際流通に対応できるようにしたんですよ。

日本語の書かれた洗濯表示(マーク)は分かりやすかったですが、それは日本人にとってだけのもの。洗濯表示(マーク)の変化は、衣類流通のグローバル化の表れだったんですね。


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参考:洗濯表示(マーク)の新旧対照一覧表

洗濯表示(マーク)が一新し、記号は22種類から41種類に増えました。2倍近くに増えたことになりますね。

写真提供/消費者庁のホームページより

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上の画像は、洗濯表示(マーク)の新旧対照一覧表です。パッと見て乾燥やクリーニングについての表示が増えたように感じ、「とても全部の意味は覚えられない!」と思ってしまいますよね。大丈夫ですよ。このあとに「まずはこれだけ覚えれば大丈夫」というポイントをご紹介します!

上の一覧表は、長く愛用している衣類があるなど、新旧の洗濯表示(マーク)が混在しているときに確認で使うと便利ですよ。また、無印良品やグンゼなど、衣類を取り扱うメーカーやクリーニング店などでも洗濯表示(マーク)の新旧対照一覧表を作成して公表していますので、一度参考にしてみてくださいね。

【参考URL】無印良品 洗濯表示の新旧対照一覧表(洗濯表示のお問い合わせに対応して掲載)

【参考URL】消費者庁 平成28年11月30日までの旧洗濯表示

【参考URL】消費者庁 平成28年12月1日からの新洗濯表示

まずはこれだけ覚えよう

41種類もある洗濯表示(マーク)の意味を全て覚えておくのは大変ですよね。それに、家庭で洗濯するだけなら覚えなくてもよい洗濯表示(マーク)もあるんですよ。まずは「これだけは覚えて」という表示についてご紹介しますね。

洗濯桶のマークだけは見よう

衣類などを洗濯する時にまず一番大事なのは、「これは家で洗濯して大丈夫なの?」を見ることですよね。さらに、「洗濯機で洗えるの?」「手洗いした方がよいの?」という点も気になるポイントです。

そこを教えてくれる洗濯表示(マーク)が、洗濯桶の形をした記号です。

写真提供/@nya__(on Instagram)

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洗濯表示(マーク)はマークの並び順番も決まっています。上の画像のように洗濯桶の形をしたマークは重要なので、一番最初に表示されます。画像の例では洗濯桶の中に手を入れているマークなので、この衣類の洗濯方法は「手洗い」ができることを表しています。

写真提供/消費者庁のホームページより

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洗濯桶の形のマークは、上の画像のようにたくさんの種類がありますが、覚えるポイントは下記の4つだけ!これだけ押さえれば毎日の洗濯で迷う事はあまりないでしょう。特に、ポイント1の「洗濯桶のマークに×が付いている=家では洗えない」ところだけは、確実にチェックしてくださいね。

ポイント1:洗濯桶のマークに×が付いていなければ「家で洗える」。×が付いていたら「家では洗えない」

ポイント2:洗濯桶のマークに手が書いていなければ「洗濯機で洗える」。手が書いてあれば「手洗いで洗える」

ポイント3:水で洗うなら洗濯桶のマークの中の数字は気にしなくてOK

ポイント4:洗濯桶のマークの下に線が書いてあったら、弱く洗う必要があるので、洗濯ネットを活用したり、洗濯機の「ソフトコース」や「手洗いコース」、「ドライコース」などを使う

洗濯桶の形のマークについてさらに詳しく知りたい場合は、この記事の「基本記号1:水洗いできるかを示す「洗濯処理記号」」を参考にしてくださいね。

三角と四角は「漂白方法」「乾燥方法」

洗濯物の汚れや臭いがひどい時は、洗濯前に予洗いしたり漂白剤を使ったりしますよね。「漂白剤を使って洗濯しても大丈夫かしら?」という点を確認したい時は、三角の洗濯表示(マーク)を見てみましょう。

また、洗濯物を乾かす時に「乾燥機に入れても大丈夫かしら?」「平干しした方がよいかしら?」という点を確認したい時は、四角の洗濯表示(マーク)を見ましょう。

三角のマークも四角のマークも、×が付いていたら「漂白剤は使えない」「乾燥機は使えない」という意味なので注意してくださいね。三角と四角のマークの詳しい意味については、この記事の「基本記号2:漂白剤が使えるかを示す「漂白処理記号」」と「基本記号3:適した干し方を示す「乾燥処理記号」」でご紹介します。


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コツがわかれば簡単!いろいろな洗濯表示(マーク)と対処法

41種類とたくさんある洗濯表示(マーク)ですが、見方のコツをつかめば意味を理解するのも簡単なんですよ。ここからは、洗濯表示(マーク)を覚えるコツと、それぞれの意味を詳しくご紹介します。

基本は5種類

洗濯表示(マーク)は全部で41種類といっても、それは付加記号を含めた数です。それぞれ何を意味するマークかを覚えるには、「基本の5種類」と「付加記号4種類」の9つを覚えれば大丈夫!あとはその組み合わせだけなんですよ。

写真提供/消費者庁のホームページより

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上の画像は「基本の5種類」のマーク。「洗濯」「漂白」「乾燥」「アイロン」「クリーニング」の5種類がある事と形を覚えましょう。

追加情報は「付加記号」で表示

基本の5種類の形を覚えたら、次は「付加記号」の4種類です。付加記号は、基本の5種類の洗濯方法について、より詳しく説明している記号という意味ですよ。

付加記号の種類は、「数字」「棒(バー)」「点」「×」の4種類です。

写真提供/消費者庁のホームページより

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上の画像の付加記号にあるように、「棒(バー)」は耐えられる洗濯の強さを表していて、「点」は耐えられる温度の程度を表しています。「×」はそれをしてはいけないという禁止の意味ですよ。また、「数字」は洗濯に使う液温(液体の温度)を具体的に表しています。

「棒(バー)」は洗濯桶のマークと組み合わせて使われ、数が増えるほど「弱い」力での洗濯をおすすめするデリケートなモノという事ですよ。棒(バー)の数が2本表示されていたら、洗濯の時に注意してくださいね。

「点」は四角の乾燥機についてやアイロンのマークと組み合わせて使われ、数が増えるほど「高い」温度での洗濯にも耐えられることを表しています。点が1つしか表示されていなかったら、高温での乾燥やアイロンは避けてくださいね。

「数字」は洗濯桶のマークと組み合わせて使われ、例えば「40」と書かれていたら、「40℃までの水(お湯)で洗える」という意味です。この数字は「40℃で洗え」ということではなく、「40℃までなら変質させずに洗える」という意味なので、15℃や20℃の水で洗濯しても全く問題ありません。

以下からは、基本の5種類と付加記号4種類を組み合わせた、それぞれの洗濯記号(マーク)の意味を詳しくご紹介します。

基本記号1:水洗いできる?「洗濯処理記号」

普段の洗濯で一番よく確認する必要がある、洗濯桶の形のマーク「洗濯処理記号」。組み合わせて使う付加記号も3種類と多く、「数字」と「棒(バー)」「×」です。マークの種類が多いと感じるかもしれませんが、それは付加記号の数が多いだけなので、安心してくださいね。

また、このマークにだけ「洗濯桶+手」の記号がありますが、パッと見てすぐに「手洗い」の意味だと分かりますよね。

写真提供/消費者庁のホームページより

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洗濯桶の形のマークは上の画像のようにたくさんの種類がありますが、見方のコツがあります。まず、「×」が付いていないか確認しましょう。「×」が付いているものは家庭では洗濯できません。

次に「手洗い」かどうかを確認しましょう。手洗いマークは洗濯機の「デリケートコース」でも洗濯できますが、型崩れなどをできる限りさせたくないモノは手洗いがおすすめですよ。

そのほかのマークは、基本的に洗濯機で洗濯することができます。洗濯の際に水を使っている人は、液温(液体の温度)を表す数字も気にする必要はありません。ひどい汚れや臭いを取るために熱いお湯を使って洗濯したい時だけ、数字を確認しましょう。

また、洗濯桶マークの下にある「棒(バー)」の数が1本までは、洗濯機で普通に洗濯しても問題ありませんよ。棒(バー)の数が2本のモノは、洗濯ネットを使用する・洗濯機のデリケートコースを利用する・おしゃれ着用洗剤を使用する、といった「やさしい洗い方」を心がければ洗濯機で洗えます。

基本記号2:漂白剤は?「漂白処理記号」

泥汚れや食べこぼしの汚れなど、洗濯の際に漂白剤を使いたい時がありますよね。その場合は三角の「漂白処理記号」を確認しますが、その前に、自分の持っている洗濯用漂白剤が「塩素系」か「酸素系」かを確認しておきましょう。「塩素系」の方が作用が強く、その分生地を痛めやすい漂白剤なので、洗濯の時にはより注意しましょうね。

写真提供/消費者庁のホームページより

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上の画像のように、漂白についての洗濯表示(マーク)は3種類です。三角に何も書いてなければどの漂白剤でも使う事ができますので、安心して洗濯してください。三角に×が付いていたら漂白剤は使えないという意味なので、使用はやめておきましょう。

三角に斜線が2本入っているマークは、塩素系は使えないが酸素系の漂白剤なら使える事を意味しています。ということは、酸素系漂白剤なら「×が付いていなければ漂白洗濯ができる」ということなので、「いちいち漂白剤で区別をして洗濯するのは面倒くさい!」という場合は、酸素系漂白剤を選んで買いましょう。

基本記号3:干し方を示す「乾燥処理記号」

乾燥機が使えるかどうかや、干し方について表示しているのが四角のマークの「乾燥処理記号」です。四角の中に丸が書いてあるマークは乾燥機についての洗濯表示(マーク)で、四角の中に棒が書いてあるのが干し方についての洗濯表示(マーク)ですよ。

写真提供/消費者庁のホームページより

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上の画像のように、乾燥機についての洗濯表示(マーク)は四角の中に丸が書いてあり、乾燥機の形に似たマークなので見た目でも分かりやすいですね。乾燥機の表示について注意したいのは、「×が付いていないか=乾燥機が使えるか」と「点が1つ=低い温度でないといけない」の2つです。そのどちらでもなければ、安心して乾燥機を使用できますよ。

写真提供/消費者庁のホームページより

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干し方の記号は、上の画像のように種類も多くパッと見てイメージが掴みづらいので、慣れるまでは難しいかもしれませんね。まずは、四角の中の線の向きだけに注目しましょう。線が縦ならハンガーやピンチで吊るして干すのがよく、線が横なら平干しがよいことを表しています。

次に、線の数に注目しましょう。線が1本なら洗濯機での脱水後に干すことができますが、線が2本なら洗濯機でも手絞りでも脱水をせずにそのまま干す「ぬれ干し」がよいことを表していますよ。

最後に、四角の左上に短い斜線があるかどうかを確認します。斜線がなければどこに干して乾かしても大丈夫ですが、斜線があれば陰干して良いことを表していますよ。

まとめると、四角の中の線が縦か横か、線が1本か2本か、四角の中に斜線があるかないか、この順番で確認してくと分かりやすいでしょう。

基本記号4:「アイロン仕上げ処理記号」

アイロンについての洗濯表示(マーク)は、形からすぐに分かりますよね。アイロン仕上げで気を付ける点は「温度」なので、付加記号の意味をしっかりと押さえましょう。

写真提供/消費者庁のホームページより

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上の画像のように、アイロン仕上げの洗濯表示(マーク)は「点」と「×」の付加記号が付きます。「×」が付いている場合は、熱に弱い生地なのでアイロンをかけないようにしましょう。「点」の付加記号は、点の数が多いほど高い温度に耐えられることを表しています。

点が3つあれば200℃までの高温アイロン仕上げができるので、アイロンをかける際に特に気を付ける必要はないですよ。点が1つの場合は、110℃までのアイロン仕上げでスチームなしという意味なので、アイロンをかけるときにはなるべく低温でやさしく仕上げましょう。あて布をするのも良いですね。

基本記号5:「商業クリーニング処理記号」

丸の記号はクリーニング店に対して表示されているマークなので、家庭での洗濯で気にする必要はありません。ただし、1つだけ気を付けなければならないマークがあります。

写真提供/消費者庁のホームページより

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上のクリーニングに関する洗濯表示(マーク)で私たちが気にする必要があるのは、「×」の付加記号があるかどうか!丸のマークに×の付加記号が付いていると「クリーニング禁止」なので、クリーニング店に出すことができないので、注意してくださいね。

この方に教えていただきました

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藤原千秋

大手住宅メーカー営業職を経て、主に住まい・暮らしまわりの記事を専門に執筆し20年目。現在はライティングの傍ら、住宅関連の企画・広告・商品開発・アドバイザリー等、多様な業務に携わっている。TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』月1レギュラー出演、東京新聞『住箱のスミ』連載中。そのほか『この一冊ですべてがわかる!家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)等著監修書多数。プライベートでは高校生、中学生、小学生三児の母。