4歳向けのベストセラー絵本

4歳児を対象とした絵本になると、大人の心すら揺り動かす作品が増えてきます。引き込まれるストーリーや工夫で読み聞かせをいっそう豊かにするベストセラー絵本は、次の3冊です。
浜田 広介『ないた赤おに』
心優しい赤おには村人たちに怖がられ、毎日悲しみに暮れていました。そこで青おには乱暴者を演じて赤おにに自分を退治させ、赤おにが村人たちに信頼されるきっかけを作ってあげたのです。
友だちの赤おにを幸せにしてくれた青おには、赤おににメッセージを残して姿を消します。このメッセージが物語の山場です。子どもの心のなかに、友だちを大切に思う心を育ててくれるでしょう。
『ないた赤おに』は様々なイラストレーターが挿絵を手がけています。なかでも、いもとようこのイラストは、ふんわりしたタッチで鬼も優しい雰囲気に描かれているため、子どもが怖がることも少ないかもしれません。
・書籍名:浜田 広介『ないた赤おに』
林 明子『こんとあき』
動くキツネのぬいぐるみ「こん」は、「あき」が生まれてからずっと一緒にいました。こんのほつれた腕を直してもらうため、あきは「さきゅうまち」にいるおばあさんの家に向かいます。
旅の途中、こんとあきは何度も困難に出会います。大人なら何でもないことですが、子どもにとっては大事件です。こんの「だいじょうぶ だいじょうぶ」に、読み手も祈るような気持ちにさせられます。
子どももこんとあきの気持ちに寄り添い、冒険のドキドキ感を味わってくれるでしょう。
・書籍名:林 明子『こんとあき』
香山 美子『どうぞのいす』
見知らぬ誰かを気遣う動物たちに、ほっこり心温まるストーリーです。
ウサギがひと休みするために作った「どうぞのいす」は、ロバの予想外の行動により「いすの上にあるものをどうぞ」のいすになってしまいます。
そこへ動物たちが代わる代わるやってくるのですが、彼らはみんな「もらうだけでは悪いから、代わりにこれを置いていこう」と別の食べ物を置いていくのです。
「また違うものになっちゃった!」と子どもがクスクス笑うような、コミカルな要素も楽しめます。
・書籍名:香山 美子『どうぞのいす』
5歳向けのベストセラー絵本

5歳ごろになると社会性が芽生え始め、自分と他人の関わりをより強く意識できるようになります。次に紹介する3冊は、感情への想像力や共感力・深く考える心を育む助けとなるでしょう。
佐野 洋子『100万回生きたねこ』
この絵本に出てくる「ねこ」は100万回生きて、100万回死んだことがあります。しかしあるとき、「ねこ」は誰の飼い猫でもない、自由な野良猫として生まれてきました。
なぜ「ねこ」は、何度も生まれ変わったのでしょうか。その理由は「ねこ」が運命の白猫に出会ったことでほのめかされます。ラストは涙が止まりませんが、きっと「ねこ」はこの上なく幸せだったのでしょう。
子どもにはまだよく分からないかもしれません。あえて物語の意味を教えず、子どもなりに答えを出すまで何度も読んであげてはいかがでしょうか。
・書籍名:佐野 洋子『100万回生きたねこ』
モンゴル民話『スーホのしろいうま』
モンゴル生まれの楽器、馬頭琴の由来となった物語です。ある日、羊飼いのスーホはきれいな白馬に出会いました。彼らは強い絆で結ばれますが、ある出来事から理不尽にも引き裂かれてしまいます。
ラストが何ともせつなく、悔しさや喪失感など感情を激しく揺さぶられる絵本です。とてもインパクトがあり、子どものころに泣きながら読んだ覚えのあるママも多いのではないでしょうか。
スーホと白馬の気持ちを想像しながら読むと、より深く胸に染み入るものがあります。子どもたちも成長するにつれ、悲しみの奥にあるものを読み取るようになるかもしれません。
・書籍名:モンゴル民話『スーホのしろいうま』
バージニア・リー・バートン『せいめいのれきし 改訂版』
「人間はどうして生まれたの?」「恐竜はどうして絶滅したの?」といった子どもの疑問に答えてくれる良書です。地球の成り立ちから始まり、人間が生まれるまでの壮大な生命のリレーが描かれています。
細部まで書き込まれたイラストの解説を担当するのは、左下にいるナレーターです。このナレーターを基準にして、描かれる植物や動物の大きさが想像できるようになっています。
子どもに限らず大人も楽しめる、家に置いておきたい1冊といえるでしょう。やや文章が長く難しい部分もあるため、最初は絵をメインにかいつまんで説明してあげる方がよいかもしれません。
・書籍名:バージニア・リー・バートン『せいめいのれきし 改訂版』
