日本なら、茶道や華道、着物。
何気なく目にしている伝統文化を、もう少し深く知りたい、体験してみたいと思う人も多いのではないでしょうか。

中央アジアのキルギスという山岳国家に住む私は、先日「ОЙМО(オイモ)」と呼ばれるキルギスの伝統的な文様を使った手芸を体験しました。

日本ではあまり知られていませんが、とても味わいがあるすてきな文様と伝統文化を紹介します。

世界、平和、友情……さまざまな意味が込められた文様

▲Photo by Rie Kanno

公園ゲートの両端にさりげなく施された模様。

キルギスでよく見かけるこの模様が、オイモと呼ばれる伝統的な文様です。

オイモは本当に至るところに散らばっています。

カフェの天井、紙ナプキン、アパートの外壁、伝統的な衣装、座布団やカーペット。キルギスにいてオイモを見ない日はないと言っても過言ではありません。

▲Photo by Rie Kanno

2024年2月のある週末、私はキルギスの企業MIYABI JAPANが企画する、キルギスの伝統工芸を学べる1泊2日のツアーに参加しました。

MIYABI JAPAN代表の緒方美鈴さんによると、オイモにはさまざまな種類があり、それぞれに意味があるのだそう。

▲Photo by Rie Kanno

そして複数の模様を組み合わせたものが、カーペットや服、アクセサリーなど、生活のあらゆるものに使われています。

オイモを使った製品には「平和でありますように」「友情が守られますように」といった願いが込められているのです。

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学校の先生からオイモ職人に転身したグルジャンさん

▲Photo by Rie Kanno

オイモの手芸を教えてくれるのは、職人のグルジャンさん。

キルギスの人の名前にはそれぞれ意味があります。グルジャンという名前は「花の心・魂」という意味。とてもロマンティックです。

もともと学校の先生だったというグルジャンさんが職人になったのは2005年。孫が生まれたのを機に、在宅で働きながら家族との時間を過ごしたいと考え、キルギスの伝統手芸を学んで職人になったそう。

▲Photo by Rie Kanno

今ではなんと10人の弟子を抱えている親方に。大統領からも表彰されたことがある、確かな腕を持つオイモ職人です。