日本初の技術「妊活タイミングをチェックできるおりものシート」とは。

発売当初は、問い合わせが殺到

発売にあたり、パッケージデザインを手掛けたのはマーケティング部門です。パッケージの中でも特に際立つのが、25字にわたる『ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート』という長い商品名。なぜ、こうしたネーミングになったのでしょうか。


シートは、テスターを湿気から守るため一枚ずつアルミパックに包まれている

「この商品は、ドラッグストアで生理用品と同じ棚に置かれています。そのため、(ナプキンでも通常のおりものシートでもなく)“なんのための商品なのか?”を端的に伝えることで、『こんな商品があるんだ。ちょっと試してみようかな?』と気軽に手に取っていただけるのではないかと、マーケティング部門で工夫しました」

価格も、5枚入りで(店頭想定価格)600円前後。普通のおりものシートのように、つけたまま過ごせるため、検査のためにトイレに行く必要もありません。

「夜勤のあるお仕事をされている方からは、『基礎体温をいつつけたらいいの?』という声も聞かれました。また、ご本人には妊活の意思があってもパートナーが積極的ではなく、タイミングを調整するのが難しいという声も。そうした時に、ある程度簡単に、信ぴょう性のあるタイミングを知ることができたら……、というニーズに答えられたと感じています」

2023年11月、約5年の歳月を経て、『ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート』が発売。すると、店舗には問い合わせが相次いだと言います。

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「こうしたらお客さまに喜ばれるのでは?」踏み出した新たな一歩

開発者である吉政さん自身は、これまでどのようなキャリアを歩んできたのでしょうか。

1992年にユニ・チャームに入社し、商品開発部門を経てリサーチ部門へ。リサーチ部門時代には数年間、中国・上海にも駐在したと言います。

「リサーチ部門では消費者のニーズや市場の調査を担っていたのですが、ある時、リサーチの結果から見えてきたことを、従来の事業領域に捉われず、もっとお客さまの役に立つよう形にできないだろうか? と思うようになったのです。他部門と連携しながら学術的な知見をベースに商品化・サービス化につなげる共生社会研究所であれば、それまで手の届かなかった新事業の立ち上げに携わり、それが実現できると思いました」

2019年、共生社会研究所へ異動した吉政さん。社内で案として挙がっていた『ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート』の開発にすぐに着手し始めました。

「残念ながら、今回のような新しい商品の提案活動では多くの失敗も経験してきました。開発段階で『いけそうだ』と思っても、目標のレベルにまで仕上げることができず、商品化には至りませんでした。そのような場合は、自分なりに考えた方法を関係者と共有しながら最善の選択をし、自分の見立てや仮説の立て方に甘さがあったと反省し、学びとして次のテーマに取り組むようにしています。

今回のように、研究開発の目標を達成し、結果的に世の中に出すことができて、画期的な商品だと好評をいただくのは本当にうれしいですね。悩みを抱える方のお役に少しでも立てているのであれば、私どもも本望です」

これまでの事業領域では実現し得なかった、『ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート』のアイデア。もちろん、社内のほかのメンバーや共に開発を進めてきた外部メーカーなど、多くの人の手で生み出された商品ではありますが、はたらく中で抱いたモヤモヤをそのままにせず、自ら行動を起こした吉政さんだからこそ、ユーザーに寄り添った開発を主体的に進めることができたのではないでしょうか。

(文:原 由希奈 写真提供:ユニ・チャーム株式会社)