直言(岡部たかし)は寝たきりでろくに食事も取ろうとしない。そんな様子をはる(石田ゆり子)は心配していた。 一方、直言の弁護を引き受けた穂高(小林薫)から「君にしかできないことがある」と言われた寅子(...

【朝ドラのツボ!】

NHK朝ドラ「虎に翼」~第5週「朝雨は女の腕まくり?」#22



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 直言(岡部たかし)は寝たきりでろくに食事も取ろうとしない。そんな様子をはる(石田ゆり子)は心配していた。

 一方、直言の弁護を引き受けた穂高(小林薫)から「君にしかできないことがある」と言われた寅子(伊藤沙莉)は花岡(岩田剛典)たちと共に予審の膨大な資料を書き写し、調書内容をひとつずつ確認し始める。

 なかなか成果が上がらない中、寅子は証拠になりうる「重要なもの」の存在に気付く。

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【本日のツボ】



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「俺にはわかる。父さんは悪者顔なだけで、悪いことが出来るたちじゃないだろう?」(直道)

 ※※以下、ネタバレあります※※

 穂高教授に頼まれ、膨大な調書の筆写をひとりで黙々と書き続ける寅子。そんな彼女を見つめる花岡の表情にキュン。さらにそんな花岡に「何か手伝えることはないか。そうお声をかけたらよろしいんじゃなくて?」と声をかける涼子さま(桜井ユキ)。

 場面変わって、梅子(平岩紙)、涼子、香淑(ハ・ヨンス)、よね(土居志央梨)、同級生たちと花岡、轟(戸塚純貴)も加わり、筆写の手伝いをする面々。仲間の連帯を感じるいい場面でした。

 はるが毎日毎日30年間コツコツとつけていた「主婦乃手帖」と調書との食い違いを発見した寅子。その事実を父に突きつけます。

 緊迫した空気の中で、またやってくれたのが兄の直道(上川周作)です。もはや直道の持ちギャグ「俺にはわかる」。毎回、見当はずれなことが多いのですが、今回は大丈夫でしょうか。にしても、父に対して「悪者顔」って…。

週タイトルに込められた作り手の意



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 ところで、「寅に翼」のサブタイトルは、第1週「女賢しくて牛売り損なう?」、第2週「女三人寄ればかしましい?」、第3週「女は三界に家なし?」、第4週「屈み女に反り男?」というように、これまですべて“女”がらみの、しかもずいぶん失礼な諺が使われています。

 ポイントはその諺の後ろに「?」がつくこと。この「?」は、寅子の口ぐせ「はて」の同義語で、それまで閉ざされていた扉が開放される魔法の言葉のようにも思えます。

 そして、今週のサブタイトル「朝雨は女の腕まくり」。どういうことかと調べたら、「女が腕まくりしていくら力んで見せても、すぐにへたばってしまう。同じように、朝降る雨は、じきに上がるから恐れるに足りないことをいう」とのこと。

 これまたずいぶんな言いようでした。が、それに「?」がついているということは…。「無能力者」であるはるがコツコツと毎日つけてきた「主婦乃手帖」が、夫を救う重要な証拠になるとしたら痛快です。

(桧山珠美/TVコラムニスト)