スタジオパーソルでは「はたらくを、もっと自分らしく。」をモットーに、さまざまなコンテンツをお届けしています。
今回取材したのは、登録者88万人のYouTubeチャンネルを運営し、“カジュアルでハッピーな性”をテーマにした動画やラジオで支持を集めてきたマルチタレント・佐伯ポインティさん。先日、収益化停止の通告を受け、猥談に関する動画をすべて削除することを公表しました。
一方で、リスナーからのお悩み相談に答えるポッドキャスト『佐伯ポインティの生き放題ラジオ!』は相談者の言葉から“本当の悩み”を見抜く洞察力で多くの共感を呼び、常にSpotifyランキング上位に入っています。
編集者からキャリアをスタートした佐伯ポインティさんは、どのようにして今の自由なはたらき方に至ったのでしょうか?これまでのキャリアと他人の悩みへの寄り添い方、仕事への価値観について伺いました。
収益ゼロ、猥談動画は全削除。それでも1,300万円の支援が集まった
――まず、佐伯ポインティさんのYouTubeチャンネル「waidanTV」が収益化停止された話から聞かせてください。
収益確認しようとしたら、見たことない花の画像と一緒に「あなたの収益は停止されています」って出てきて(笑)。YouTubeから「性的満足を意図したコンテンツで、ポリシー違反にあたる」と判断されちゃったんです。
8年前から、これまでの性産業に多かった男尊女卑や性暴力的な要素がない“日常的な性愛”をテーマに発信活動を続けてきたし、登録者は88万人いるし、チャンネルは続けたいな〜と思っているんですけど、猥談系の動画は全部削除することにしました。

――収益化停止に伴って始めたクラファンは、1,312万円以上支援されましたね。
メインの収益源である動画を2000本以上消すことになったので、なにか残せる方法ないかな?って考えたときに、DVDに猥談を焼くのはどうだろうと思ったんですよね。形に残してみたくて。クラファンしてみたらすごい数の方にご支援いただいて…ありがたすぎます。
フィクションを愛す編集者が、“性にまつわる体験談”の語り場をつくるまで
――佐伯ポインティさんは早稲田大学文化構想学部を卒業後、出版系ベンチャーに入社して、編集者になられました。なぜ編集者に?
作り手としての能力はないけど、面白い作家を見抜く力はあるなと思ったんです。フィクションがすごく好きで、小説も映画も漫画も結構幅広く楽しんできたんですけど、自分で何かつくってみると「あ〜、そこまで面白くないかも」って思っちゃって(笑)。
高校ではホラー小説を書いてみたり、大学では映画を撮ってみたりもしたんですけど、自分が作るより、もっと面白い人のためになりたいと思って志望しました。
――どうやって作家の才能を見抜いているんですか?
なんか、異なりがあるんですよ。技術的にうまいとかよりも、特徴点というか。「この人は独特な価値観でやっているな」とか、「作品の雰囲気が他の人に似てないブレンドだな」って感じがすると、高まりますね。めっちゃ尖っているとかじゃなくていいんです。違和感とかに近いですね。デビュー作から買って、直木賞獲るまで応援するとか、本当にエンジェル投資家が上場まで見届けるみたいな気持ちで、勝手に応援しています。(笑)

――でも、2年半で退社して独立されました。なぜ独立したんでしょうか?
理由はけっこうシンプルで、やってみた結果、黒子としての編集者が向いてませんでした(笑)。人のために尽くせる人って凄いと思うんですけど、自分が目立たないと馬力が出ないと気付いて。会社の人に「自分のこと好きすぎじゃない?」って言われて、「あ、そうか、自分ってそんなに自分のこと好きだったのか」って初めて気付いた(笑)。みんな、自分のことあんまり好きじゃないの?って不思議に思ったくらい!
――独立1年後、会員制で“性にまつわる体験談”を語り合う「猥談バー」を始めた理由は?
女性の先輩から「最近の面白かったワンナイトの話をしたら、男友達に性的な目で見られて嫌だった」って体験を聞いたのがきっかけなんですよね。個人の性体験って、女性はとくに話すのがリスクでもあるんだな、と。だったら「最近マチアプで出会った人の家行ったんだけど~」みたいな話を、もっと安心して安全に話せる場があってもいいんじゃないかと思ったんです。

――そもそも猥談バーってどんな場所だったんでしょう?
猥談バーは会員制で、連絡先の交換も身体的接触も禁止。ただ体験談を語って帰る、っていうルールです。「自分の話を誰かに聞いて笑ってもらいたい」って人が結構いて、マスターとして猥談を聞くのは本当に楽しかったですね。(現在は閉店)。
非日常の、しっとりしたエロ…ではなく、日常にある「楽しかったよ〜」っていう朗らかな性愛のコンテンツもあってもいいな、と思っていて。YouTubeの動画も、そこは結構意識してつくっていました。

