
「僕の良さはボールを持った時の怖さ」160センチのドリブラーが自負。欧州で体感した“基準”で高まる成長意欲。町野修斗の存在も刺激に
160センチの小柄なサイズから繰り出されるドリブルは、分かっていてもなかなか止められない。
履正社の10番を背負うFW玉山煌稀は、両足の細かなボールタッチから相手の逆を突いて突破していくリズミカルなドリブルと、素早い動き出しと正確なファーストタッチで相手を一気にかわして加速していくドリブルが武器だ。引き寄せたり、持ち出したりするトラップと、そこからのアイデアの種類と選択するスピードなど、その身体に搭載された機能は非常に多い。
「小さい頃からドリブルやボールタッチはこだわっていました。僕の良さはボールを持った時の怖さだと思っていて、ファールでしか止められないというか、ボールを持ったら必ずゴールに近づくという選手だと思っています」
この武器の必要性、重要性に気づいた大きな出来事があった。昨年、高校2年生で10番を託された玉山は、サイドから強烈なドリブルを何度も披露した。選手権予選こそ決勝で阪南大高の前に敗れたが、大会後のU-17日本高校選抜候補に選出。その注目度が徐々に高まっていくなかで、ドイツのクラブへの練習参加の話が挙がった。今年3月にドイツに渡って3週間、クラブの練習に参加。そこで大きな手応えを掴んだ。
「海外はどの選手も僕より身長はでかいんですけど、逆に僕のような俊敏性のある選手があんまりいなかった。一瞬のスピードだったり、細かい技術だったり、違いを見せられると思いました。同時に日本だと少し待つのですが、ドイツの選手は容赦なく突っ込んできて、文字通り襲いかかってくる。一度抜くと、今度はより迫力を持って奪いにくる。そういうところでより早い判断と正確かつ細かいボールタッチが求められてくるからこそ、ドイツで経験し続けることで成長できる、自分の長所がより伸ばせると思いました」
ちょうど進路で悩む時期だった。大学も選択肢にあったが、一度体感した『基準』は彼の身体から消えるどころか、どんどん成長意欲を生み出していった。
「大学は1つステップが上がると思うのですが、海外は人生をかけた一発勝負だと思うので、当然大きなリスクもありますが、その分、いくつもステップが上がる。僕は勝負をしたいと思いました」
昔から決断をしっかり自分で下せて、意志の強い性格だけに、覚悟は固まりつつある。
「(履正社の)先輩である町野修斗選手(現・ボルシアMG)の存在も大きくて、サイズもプレースタイルも違うけど、ドイツで成り上がっていく姿は本当に凄いと思っています。町野さんも高校時代はかなり苦労したと聞いていますし、プロでもスムーズにいったわけではなかった。でもそのなかで苦労を重ねながら、あそこまでいったのは本当に凄いと思うので、かなり刺激になっています」
しっかりと前を向いて歩き出している玉山には、履正社でやらなければいけないことがある。それは3年ぶりの選手権出場。過去5大会連続で大阪予選決勝に進むも、彼が入学してからは一度も勝てていない。
今予選では、準決勝で大阪産業大学附属高を相手に3度のリードを追いつかれる苦しい展開だったが、延長後半に4度目のリードを奪って4-3の勝利。6年連続の決勝進出を果たした。
「去年は準決勝で興國に勝った後に少し満足してしまって、決勝で大敗(阪南大高に0-5)した。今年はここ(準決勝)が通過点だと思うので、絶対に決勝で勝って全国に行きます」
選手権後の来年2月にもう一度ドイツに渡る予定だ。その前にまずは選手権出場、そして3位につけるプリンスリーグ関西1部から高円宮杯プレミアリーグにチームを戻してから、選手権の舞台で躍動するなど、「日本の高校サッカーで躍動してから、僕の新たな挑戦に死に物狂いになっていきたいと思っています」と意気込む。
もちろん不安は常につきまとう。だが、それも「すべて僕次第なので」と受け入れている。強い決意を心に秘めた17歳のドリブラーの目は澄み渡っている。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
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