マクラーレンから「レッドブルは今季のタイトル獲得のため、2026年用マシンの開発を犠牲にしているのではないか?」と指摘されたことについて、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコ博士は、「我々は何をすべきか分かっている」と主張。2021年にはメルセデスのトト・ウルフ代表にも同じことを言われたと、その指摘を軽視した。
2025年のF1も残り5戦。この数戦、レッドブルとマックス・フェルスタッペンが勢いを取り戻し、シーズン前半〜中盤にかけてF1を席巻したマクラーレン勢を猛追……大逆転でのチャンピオン獲得も現実味を帯びてきている。
この背景には、レッドブルがマシンの開発を積極的に行なっていることも大きい。イタリアGPでは新型のフロアを投入し、シンガポールGPには新しいフロントウイングを持ち込んだ。そして今回のメキシコシティGPにも、イタリアで投入したフロアのさらなる改良版を持ち込んだ。
しかし来季から大きくテクニカルレギュレーションが変わるため、ほとんどのチームは今季の開発を終了させ、2026年用マシンの開発に全集中している。この状況にマクラーレンは、「レッドブルは今季のタイトル獲得のため、2026年用マシンの開発を犠牲にしているのでは?」と指摘、同じアプローチを取れば、2026年のプロジェクトに大きな影響が出かねないとも語った。
「レッドブルは2026年型マシンの開発を少し諦めた方が楽なのかもしれない。2026年型マシンには別の問題があるため、2025年型に集中しようということになるかもしれないからね」
マクラーレンのアンドレア・ステラ代表はそう語った。
しかしマルコ博士は、このマクラーレンの指摘を一笑に付した。
「2021年も同じ状況だった」
そうマルコ博士は振り返る。
「トト(ウルフ代表/メルセデス)は当時、2022年に競争力を発揮できないのではないかと、本当に心配してくれたよ」
この2021年も、当時のレギュレーション最終年であった。しかしレッドブルはシーズン終盤までマシンの開発を続け、フェルスタッペンはメルセデスのルイス・ハミルトンとのタイトル争いに打ち勝ち、初のタイトルを手にした。そして2022年からはその強さを確固たるモノとし、2024年まで3年連続でダブルタイトルを獲得してみせた。つまり2021年シーズン終盤まで開発を続けたことの影響が、翌年に及ぼされることはなかった。
ただ今季の決定的な違いは、レッドブルがエンジンサプライヤーを変更するということだ。2021年〜2022年にかけては、引き続きホンダ(HRC)製のPUを使った。しかし2025年〜2026年にかけては、PUの規格も変更され、さらにホンダ製から自社(レッドブル・パワートレインズ/RBPT)製に変わることになっている。
しかしマルコ博士は、可能な限りマシンを開発するというアプローチは、レッドブルのDNAの一部であると言う。
「ルールが変わるたびに、競争力を維持するためにできる限りの努力をするというのが、我々の哲学だ。過去3回のレギュレーション変更の時も同じだった。だから、他に心配することがなければ、それでいいんだ」
またマルコ博士は、2026年マシンの開発を犠牲にしているというマクラーレンの指摘について「我々は何をすべきか分かっている」とも主張し、さらに次のように続けた。
「綿密な計画と、非常に規律ある人材が必要だ。しかし我々にはそれが備わっている。だから、2026年シーズンにハンデはないと考えている」
なおアップデートを続けていることについてレッドブルのローレン・メキーズ代表は最近、2026年マシンの開発を効率的に進めるためにも、自社のツールと手法を検証したいと考えていると説明した。そして今季マシンRB21からさらなるパフォーマンスを引き出せるようになることこそ、その検証のための手法のひとつであり、それによって盲目的に来季のプレシーズンテストに突入することを避けることができるとも語った。
このことも、マルコ博士が語っていることと関連しているかもしれない。

