F1現役ドライバー最年長である44歳のフェルナンド・アロンソは、2026年シーズンにアストンマーティンが競争力のあるマシンを用意できた場合、来年がF1最後の年になるかもしれないと話した。
F1は2026年に大きなレギュレーションの変更が控えている。パワーユニット(PU)と車体側両方が刷新されることで、グリッドの序列にも変化が生じることが予想されている。
2025年は不運にも見舞われて厳しいシーズンとなっているアロンソ。F1新時代が幕を開ける来季に向けてアストンマーティンは多くのリソースを注いでいることもあり、心機一転スタートを切るべくモチベーションは高い。
「モチベーションはかなり高いよ」
2026年シーズンについて尋ねられたアロンソは、そう答えた。
「これが僕のラストチャンスだというのは分かっている。それが鍵なんだ」
「これまでのルール変更では、ただの変化として捉えていて、チームがレギュレーションを上手く解釈して、速いマシンを手渡してくれることを期待してきた。でも、今回のは違う。これが僕にとっては最後の大きなルール変更だからでもあるし、再びレースで勝ったり表彰台に登ったり、タイトルを争ったりと、最高の喜びを味わうラストチャンスだからだ」
「2026年には大きな期待を寄せている。過去のレギュレーション変更との違いがさほどでは無かったとしても、僕にとっては感情的にも非常に重要なシーズンだ」
大富豪ローレンス・ストロール率いるアストンマーティンは2026年に向けてイギリス・シルバーストンに最新鋭の風洞施設を備えたファクトリーを新設し、ホンダとワークスPU供給契約を締結。空力の鬼才ことエイドリアン・ニューウェイも獲得し、F1の頂点を争うための基盤づくりに励んできた。
アロンソとアストンマーティンの契約は、現時点では2026年シーズンまでとなっている。それ以降の契約がどうなるかは、アストンマーティンのマシン開発が成功するかどうかにもかかってくるだろう。アロンソは長きにわたるF1キャリアをより良い形で終えるため、2026年は自ら花道を飾りたいと語った。
「今のところ、僕も明確な考えがあるわけじゃない。マシンが強ければ、僕の最後の年になる可能性は結構ある」
アロンソはそう語り、こう続けた。
「ニューウェイを含めた今のグループが完全に整う2027年や2028年には、もっと上手くやれるチャンスもあるだろう」
「初年度に好調でも、2年目や3年目は自分で確かめる必要がある。マシンが弱いなら、良い形で終えるためにも、もう1年続けるかもしれない。マシンが強いなら、2026年が最後の年になるだろう」
「チームは最高の時期に向かって進んでいる。コース上では毎週末できる限りのことをしているよ。もちろん、疲労感はあるし、今シーズンを終わらせてリセットしたいとも思う」
「でもファクトリーでは真逆だ。全てを2026年に集中させて、ニューウェイの指導の下、新しい働き方になって、興奮が渦巻いている。アストンマーティンは明らかに上昇気流に乗っているよ」
アロンソがこうした考えを示しているのは、自身のパフォーマンスに自信を失ったりしたからではない。あくまでも彼は、F1のトップを争うドライバーとしてキャリアを締めくくりたいと考えているのだ。
「F1を引退する時には、僕は今の自分……つまりベストだと信じられる自分で引退したい。それから、少なくとも30~40%の人達が、僕のことをまだ世界最高だと思ってくれている状態で引退したいんだ」とアロンソは言う。
「能力が落ちたからという理由で引退したくない。来年も楽しんで生きたいし、1シーズンずつ進んで行くつもりだ。でもそうだね、トップのまま引退したいところだね」
なお2025年シーズンのアロンソは、現在30ポイント獲得でランキング12番手。チームメイトのランス・ストロールよりも2ポイント少ないという状況だ。ただこの結果は不運によるところが大きく、それがなければあと22ポイント獲得できたとアロンソは考えている。
「ポイント圏内につけていても、レースを実力通りに終えられないのは残念だよ」
「そして、競争力が無く遅い週末には、チェッカーまで何事もなく進み、ポイントを得られないんだ。でもこれが現実で、F1はそういうスポーツだ。来年良いマシンを手に入れられれば、幸運も普通に巡ってくる。幸運をねだっているつもりはなくて、普通の運でいいんだ」

