
『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)
【画像】え…っ! 夫婦で立って並ぶと「あんま身長変わんなくね?」 コチラが小泉八雲さん(ギリシャ人)と小泉セツさん(日本人)の実際の姿です
ペリーを呪うのも納得の役職
2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)さんと、彼を支え、さまざまな怪談を語った妻の小泉セツさんがモデルの物語です。
本作の22話では、英語教師として赴任した「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」が松江のさまざまな場所に興味を持って歩き回るなかで、主人公「松野トキ(演:高石あかり)」の養祖父で、まだ髷を結って生活している元武士「勘右衛門(演:小日向文世)」と遭遇しました。
勘右衛門は武士の世が終わるきっかけを作った「黒船来航」(1853年)のマシュー・ペリー提督に強い恨みを抱いており、ヘブンを見るなり
「ついに来た……隠岐(島根県隠岐郡)で異国船見張り番を務めたこのわしが、お役目を果たす時が!ペリー!覚悟!」
と、木刀で彼に襲い掛かります。
とにかく侍であることにこだわる勘右衛門は、『ばけばけ』公式サイトで「幕末をたくましく生き抜いた生粋の武士」と紹介されていたものの、具体的に何をしていたのか不明でした。ついにかつての役職が判明した勘右衛門に関して、SNSでは
「おじじ様は伊達に『ペリーめー!』とやってたわけではなく、隠岐島で異国船に対する監視をしていたのか」
「お祖父さま、まじでラストサムライすぎる」
「異国船の見張り役を任せられるくらい、勘右衛門さんは立派な武士だったんだな」
「勘右衛門の役職は隠岐の異国船見張り番、つまり国防の最前線だったのか……そりゃ開国した世に人一倍反発するのも無理はないな」
といった、これまでの彼の言動に納得する人の声も出ています。
トキのモデルである小泉セツさんは、1868年に生まれ、生後7日から親戚の稲垣家で育ちました。養祖父の稲垣万右衛門さんは幕末に様々な役職を経験した武士で、実際に松江藩の命で1855年から隠岐にあった砲台で異国船を見張る任に就いていたそうです。
また、彼はそれ以前から松江藩の砲術(射撃術)方を務めており、さらに1863年に江戸幕府第14代将軍の徳川家茂公が上洛した際に京都の二条城や御所の警護に当たったり、1864年に四国連合艦隊(イギリス・フランス・オランダ・アメリカ)による下関砲撃事件が起きたときは、松江藩砲術方頭取として島根西岸の西洋式砲台に派遣されたりと、各地で活躍したといいます。
藩や幕府を守るために奮闘した万右衛門さんは、明治維新後も生涯にわたって武士としての生き方を崩さなかったそうです。ちなみに、万右衛門はセツさんを養子に迎える2年前の1866年から、藩主の子息の面倒を見る「御子様方御番方」という役職を務めていたとのことで、歴戦の武士ながら大の子供好きだったといわれています。
そんな万右衛門さんは、ラフカディオ・ハーンさんに「小泉八雲」と命名した人物としても有名です。「八雲」は、『古事記』にも載っている日本最古の和歌「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」からとられたものでした。
現状の勘右衛門がヘブンの日本名を考えてあげる、という展開は想像がつきませんが、今後どうなるのか要注目です。
※高石あかりさんの「高」は「はしごだか」
参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(著:長谷川洋二/潮出版社)
