「謎にハマること」と「学問」を組み合わせるとオンリーワンになる
──どのような行動をすれば、大塚さんのように人生を変えることができるのでしょうか。
私は大学の成績が、0から4の評価で平均0.9だったのですが、卒業時、優秀な学生に送られる賞をもらったんです。同じ賞をもらった6名は、平均3.8などだったんですよ。
なぜ私が賞をもらえたかと言うと、「一点突破」で乗り切ったからだと思うんです。
──「一点突破」とはどういうことですか?
たとえば学生なら、すべての教科をバランス良く頑張ろうとする人は多いですよね。それって素晴らしいことですが、社会人になって振り返ってみると、記録がどこにも残らないんです。
でも学会の記録は、インターネットで誰でも見ることができます。
逆に言うと私は、それ以外の成果は何も出していないんですよね。

──「学会での発表」以外で、一般の人が実践する方法はあるのでしょうか。
1年に1度でいいから、「今年は○○をやりました」と言える成果を残せばいいんです。でもこれは、努力とは違って。
たとえ「#100日チャレンジ」のようなものを努力してやり遂げても、人生が変わる人ってそう多くないと思うんです。今思えば、私の人生が激変した理由は、「私だけが謎にハマるもの」と「学問」が組み合わさったからだと思います。
私の場合、宿題サボりという誰にも負けないハマるものがあって、軽い気持ちで始めた「#100日チャレンジ」が偶然マーケティングになりました。それが学会発表や本の出版という成果につながったんです。
この一連の流れには、学生時代に読んでいた経営者の自伝や、ゲームで勝つための行動経済学・心理学の知識(=学問)も活かされていると思います。学問と言ってもテストでいい点を取る必要はないんです。
ハマるものがあっても、学問の知識がなければオタクで終わってしまうし、知識だけが豊富でも、エリートにはなれてもオンリーワンにはなれません。2つそろってはじめて、人生が変わるのだと思います。
──最後にスタジオパーソルの読者であるはたらく若者に、「はたらく」をもっと自分らしく、楽しくするためのアドバイスをお願いします。
「自分らしく」の中に、外見的なかっこ良さは求めなくていいと思っています。
一見かっこ悪いものでも、ハマったら極めてしまえばいい。誰もが憧れる人になる必要はないんじゃないかな。
宿題サボるなんて、かっこ悪いじゃないですか。でも見方を変えれば、「楽に早く提出する」ことは「ソフトウェア工学を使って効率化する」という立派なスキルなんですよね。そうやって、得意なことと仕事にできることを、うまくすり合わせていくんです。
かっこ悪くてどうしようもない自分をちゃんと認めて、それを踏まえて「できること」を考える。自分のかっこ悪い部分を、魅力に変えることを目指してほしいですね。
(取材・文:原由希奈 写真提供:大塚あみさん)

