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「ボールがこぼれてくる、転がってくる」10戦11発の日本代表エースが磨き上げる“オートマティカルな感覚”。「準備ができていて噛み合ってます」【現地発】

「ボールがこぼれてくる、転がってくる」10戦11発の日本代表エースが磨き上げる“オートマティカルな感覚”。「準備ができていて噛み合ってます」【現地発】


 オランダリーグは10節を終了し、上田綺世(フェイエノールト)は11ゴールと快調に得点を重ねている。かつてロナルド・クーマンは「牛をも殺すFK」と言われたほどの強烈なキックを蹴ったが、上田のシュートも速くて重い。10月23日のパナシナイコス戦(3-1の勝利)では、上田のシュートをセーブしたGKが痛みでしばらく立ち上がれず、26日のPSV戦(2-3の敗戦)では正面のシュートをGKが手で触れず、胸で弾き返した。

 コンディションは良さそうだ。開幕した頃は相手CBを背負い、自分のポジションにステイしていた上田はいま、常に足を動かし続け、ゴール方面に矢印を向けた姿勢を取り続けている。最近、頻繁に見られる中盤に降りる動きも、ゴールへ向けて走る伏線のよう。ゴールからいったん遠ざかった反動を利用して、クロスに対して迫力溢れる飛び込みを見せている。

 PSV戦後、上田はポジショニングの工夫を語った。

「ゴールに関われるポジションを意識しながら、ちょっとずつポジションを変えてます。ゴール前のポジションだけでなく、ゴールから離れたところでもそう。少し外にポジションを取って、ど真ん中の位置に居すぎないようにするとか。クロスの入り方も、いろいろ調整しながら、自分で(タイミングや入り方を)探して見つけて、それが噛み合ったり、噛み合わなかったりの連続ですが、少しずつシュートを打つ本数やチャンスメイクに現れている。今日はあと一歩のところまでは行けていた。決めたかったですね」
 
 蘇ったのは上田十八番の、DF背後を突く走り込みだ。

 2023年夏、セルクル・ブルージュ(ベルギー)からフェイエノールトに移籍した上田は、ボールを支配するチームということもあり、相手DFを背負ってプレーするポストプレーを、高いレベルで要求された。しかし、上田本来の武器は“敵DFの背後を突く動き出し”である。当時、私は彼とインタビューでこういう話をした。

――セルクル・ブルージュでも取り組んできた、ボールのないところでのプレー(=動き出し)。そこへパスを出してもらう作業をフェイエノールトでも取り組んでいくのか?

「仮にそれが求められるサッカーでなくても、動き出しが自分のスタイルなので、浸透させていく作業は絶対にどこに行ってもしないといけないと思います」

――「これでいいのかな?」と気持ちがブレることはありませんか?

「ブレる? 記者も自分のポリシーを持って仕事をしてますよね」

――はい。でも、今の時代、「自分のやり方でいいのかな?」と悩むことはあります。

「“今どきの記者”のスタイルに変えたところで、自分の戦う土俵ではなくなるじゃないですか。味方からボールが来ないから動き出しを止めたら、自分で一個、武器を捨てることになる。自分の得意なことを常にやり続けるだけ。それが選手の価値だと思う。どこに行っても、そうすることが、僕が活躍する方法です。それしかない」
 あれから2年余り。相手を押し込むことの多いフェイエノールトのアタッカー陣に与えられるスペースは狭いが、それでも上田は間隙を突いて、巧みにDFラインの裏に走り込む。そのスペースが無ければ予備動作を交えて作り出す。何より肝心なのは、走り込んだ先に味方からのパスが届く。

――2年前の夏、「お互いの武器を捨てる必要はないですよね」という話をしました。取り組んできたことがいま、一周回って、上田選手の長所である裏抜けが効いています。

「僕がフェイエノールトに来たとき、『DFを背負ったプレーは得意じゃない。だけど、チームから求められているのは“裏抜け”じゃなく、“背負ったプレー”なんです』という話をしたじゃないですか。自分の武器・長所はいつでもオートマティカルに使うことができるもの。しかし、自分に足りないもの、伸ばそうとしているものは、意識しながらトライして、そういう(オートマティカルな)感覚に持っていかないといけません。

 今はポストプレーが少しずつ良くなってきて、それを利用して背後を取ったりとか、自分の武器をさらに活かせる材料が増えてきて、うまくバランスが取れている。以前、ポストプレーがうまくでき始めた頃、『(ゴール前のプレーとの)そのバランスが難しい』という話もしたと思います。あれから監督が何人か替わり、今はゴール前でのプレーも、ポストプレーと同じように求められているので、自分の武器が出やすいと思います」
 
 PSV戦では鍛え抜かれた背筋で相手のマークを吹き飛ばし、GKからのパントを余裕の体勢で処理した。また、敵陣ゴール前では、味方のトラップミスを予期した走り込みで拾い、強引にシュートを放った。研ぎ澄まされた集中力、頑健なフィジカルと止まらない足、多岐に渡るプレーの数々――。今の上田は心技体、整っている気がする。

「そうですね。コンディションも良いし。今はこぼれてくる時期(とき)ですね。前回の試合(ヘラクレス戦。前半45分間で上田はハットトリックを完成)もそうでした。ボールが転がってくる。それを呼び込めるポジショニングだったり、準備ができていて噛み合ってます。継続してやっていきたいですね」

 PSV戦の後半、スルーパスの名手、ルチアーノ・バレンテがドリブルしながらルックアップしたとき、上田はDFラインの裏に駆け抜け「俺に出せ!」と要求した。スタジアムの誰もがホットラインの貫通を、固唾をのんで見守った。PSVの選手もきっと「パスを止めないと」と思ったことだろう。しかしバレンテは裏をかいてシュートを放ち、ゴールを決めた。このゴールシーンは、上田の動き出しと、チーム戦術が噛み合っている証拠だろう。

取材・文●中田 徹
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配信元: SOCCER DIGEST Web

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